ジャングルの宝石のように、美しい緑色に輝くグリーンパイソン。その姿にひと目惚れして、「いつか一緒に暮らしてみたい」と思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
木の上で静かに過ごす姿や、ゆったりとした動きには、どこか癒される魅力があります。ただ、その魅力の裏には、ちょっぴりデリケートな一面も。
この記事では、グリーンパイソンと心地よく過ごすために知っておきたい飼育の基本や、毎日のちょっとした工夫をご紹介します。
グリーンパイソンの特徴と魅力とは?
グリーンパイソン(別名:ミドリニシキヘビ、学名 Morelia viridis)は、鮮やかな緑色と、枝の上でとぐろを巻く姿がとても魅力的なヘビです。
主にインドネシアやパプアニューギニア、オーストラリアの北部などに生息しており、自然の中では熱帯雨林の木の上で静かに暮らしています。
グリーンパイソンは、成長すると2メートル以上になることもあります。一般的には、気性が荒い性格といわれていますが、中には穏やかな性格の個体もいます。美しさと神秘的な雰囲気で、世界中の爬虫類好きたちに愛されています。
体の色は基本的に緑色ですが、地域によって黄色っぽかったり、少し青みがかった子もいて、見た目の違いを楽しめるのも魅力のひとつです。
赤ちゃんの頃は赤や黄色などカラフルな体色をしていて、成長するにつれて緑色に変わっていきます。この変化の過程もとても美しく、まるで自然の芸術作品を見ているような気持ちにさせてくれます。
口の中には細くて鋭い歯がたくさん並んでいて、これは鳥などの獲物をしっかりと捕まえられるように進化したものだと考えられています。
うっかり触るとケガをしてしまうこともあるので、むやみに口元に手を近づけたりしないよう、注意して見守ってあげましょう。
グリーンパイソンの生態
グリーンパイソンは、ふだんは木の上で生活する「樹上棲(じゅじょうせい)」ですが、夜になるとエサを探して地面に降りてくることもあります。夜行性で、昼間は枝の上でとぐろを巻き、じっと静かに過ごしています。
食べものは動物が中心で、鳥や小さな哺乳類、他の爬虫類などを食べます。まだ小さいころは、トカゲやカエルなどを好んで食べることが多いです。
また、しっぽだけをゆらして獲物をおびき寄せる、ちょっとユニークな行動をとることもあります。子どもは卵からかえります(卵生)。
メスは1度に6〜30個ほどの卵を地面に産み、卵がかえるまで体を巻いて守ってあげる、やさしい一面もあります。
グリーンパイソンにぴったりのケージとレイアウト
グリーンパイソンは木の上で過ごすのが好きな種類なので、飼育するケージもその暮らし方に合わせてあげることが大切です。
できるだけ高さのあるケージを選んであげると、安心してとぐろを巻いて休むことができます。たとえば、赤ちゃんや若い個体には45cm四方くらいのサイズ、大人の子には高さ60cm以上のケージがおすすめです。
木の枝を何本か取りつけて、くつろげる場所をいくつか作ってあげましょう。止まり木はしっかり固定し、落ち着いて乗れるような太さや位置を工夫すると、ヘビにとっても安心できる環境になります。
床材は、まだ小さいうちは湿度を保ちやすい水苔がぴったりです。成長してからは、お手入れがしやすいペットシーツやキッチンペーパーでも大丈夫。どんな素材でも、こまめに清潔に保ってあげることが大切です。
止まり木の高さをまちまちに配置すると、グリーンパイソンがその日の気分で場所を選びやすくなります。
温度と湿度の管理
グリーンパイソンにとって、気温と湿度はとても大切です。自然の中にいるときと同じような環境をつくってあげることで、健康に育ってくれます。
日中は26〜30℃くらい、夜は少し温度を下げて24〜26℃くらいが目安です。ケージの中に暖かい場所(ホットスポット)をつくり、32℃前後になるように調整してあげましょう。
そうすることで、グリーンパイソンが自分の好きな場所を選んで移動できるようになります。湿度は50〜60%がふだんの目安です。
毎日、霧吹きで軽く水をかけてあげることで、湿度を一時的に70〜80%くらいまで上げると、より自然な環境に近づきます。夏は1日1回、冬は朝と夜の2回くらい霧吹きをしてあげると安心です。
温度計と湿度計は必ずケージに取りつけて、日々の変化を見守ってあげましょう。ちょっとした変化にも気づけるようになると、体調管理がしやすくなります。
冬場は加湿器を使うと湿度が安定しやすくなり、脱皮不全の予防にもなります。
出典:Wikipedia
水と清潔な環境を大切に
グリーンパイソンは、あまり水に入ることはありませんが、いつでも新鮮なお水が飲めるようにしてあげることがとても大事です。
安定して置ける、倒れにくい水入れを用意して、こまめにお水を交換してあげましょう。また、ケージ内はいつも清潔に保つことが大切です。
床材が汚れたらすぐに交換し、水入れや止まり木も定期的に洗ってあげましょう。湿度が高めの環境ではカビやダニが発生しやすくなるので、こまめなお掃除が健康維持につながります。
エサのあげ方
グリーンパイソンは肉食で、マウスやラットなどを食べます。小さいうちはピンクマウスを、成長に合わせてファジーマウスやアダルトマウスに切り替えていきましょう。
個体によっては、羽のないウズラを好む子もいるので、様子を見ながらいろいろ試してみるのも良いですね。
エサのあげ方には、ピンセットで直接あげる方法や、ケージの中にそっと置いておく方法があります。どちらが向いているかは個体によって違いますが、夜に活動するタイプのヘビなので、夕方以降にあげると食いつきが良くなることが多いです。
急に手を動かしたり大きな音を立てたりすると、びっくりして食べないこともあるので、静かな環境で優しく接してあげましょう。
給餌の前には部屋の明かりを落とし、静かな環境にすることで、警戒心を和らげましょう。
飼育に必要な道具と費用
飼育を始めるときには、そろえておきたい道具があります。ケージをはじめ、水入れ、ヒーター、サーモスタット、温湿度計、登り木、床材などが必要です。
最初に必要な道具をすべてそろえると、だいたい4万円くらいが目安になります。そのあとも、ごはん代や床材の交換費用などがかかってきますので、無理のない範囲で準備を進めていきましょう。
長く健康に飼うためには、最初の環境づくりがとても大切です。
健康を守るために気をつけたいこと
グリーンパイソンは、脱皮がうまくいかなかったり、エサを食べなくなったりすることがあります。そんなときは、環境に問題がないか見直してみたり、動物病院で相談したりして、早めに対処してあげましょう。
また、グリーンパイソンは個体差が大きく、性格や好みもそれぞれ違います。あまり触られるのが得意でない子もいますので、無理に触ろうとせず、ゆっくりと信頼関係を築いていくことが大切です。
似たヘビとの不思議な関係
グリーンパイソンによく似たヘビに、南アメリカに住んでいる「エメラルドツリーボア」がいます。住んでいる場所も違えば種類も異なりますが、見た目や暮らし方がとても似ていて、これは「収斂進化(しゅうれんしんか)」という不思議な自然現象のひとつです。
どちらも木の上でとぐろを巻いて過ごし、夜になると鳥などを捕まえて食べる生活をしています。グリーンパイソンは、赤外線を感じる「ピット器官」が顔にあるなど、細かい部分での違いもありますが、自然の面白さを感じられるエピソードですね。
まとめ
グリーンパイソンは、美しさと穏やかな存在感をあわせ持った、とても魅力的なヘビです。初めてヘビを飼う方には少し難しく感じるかもしれませんが、丁寧にお世話をしてあげることで、少しずつ距離を縮めていくことができます。
毎日の温度や湿度の管理、ごはんや清掃など、最初は気をつかうことも多いですが、その分だけヘビの元気な姿を見る喜びも大きいものです。
無理せず、できることから一歩ずつ進めて、グリーンパイソンとの穏やかな暮らしを楽しんでくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました☺