キボシイシガメ(黄星石亀)は、黒くてツヤのある甲羅に、黄色い星のような斑点が散りばめられた、とても美しいカメです。
その見た目のかわいらしさだけでなく、おっとりした性格と人懐っこさから、最近では「初めてカメを飼う人におすすめの種類」としても注目されています。
この記事では、キボシイシガメの特徴や飼育に必要な設備、エサ選びのコツなどを解説していきます。これからキボシイシガメとの暮らしを始めたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
キボシイシガメってどんなカメ?
キボシイシガメは、北アメリカ原産のヌマガメの仲間で、学名は「Clemmys guttata」といいます。成長しても体長は12〜14cmほどと、カメの中ではやや小さめのサイズ。
広いスペースがなくても飼育できるため、家庭でも飼いやすいカメとして人気があります。特徴的なのは、やはりその甲羅。
黒い地にちりばめられた黄色の斑点模様は、まるで星空のようで、ひと目で心を奪われる美しさです。この模様は個体によって違いがあり、成長とともに少しずつ変化していくのも魅力のひとつです。
性格はとてもおだやかで、人の気配に反応して近寄ってくることもあるくらい、好奇心が強い子が多いです。水の中をスイスイ泳いだり、陸で日向ぼっこしたりする様子は見ているだけでも癒されます。
キボシイシガメは人に慣れやすいタイプのカメです。毎日少しずつ声をかけたり、やさしく手を近づけたりすることで、飼い主さんへの信頼感が育ちます。焦らずゆっくり、距離を縮めていきましょう。
飼育に必要な基本の設備
キボシイシガメを健康に育てていくためには、できるだけ自然に近い環境を整えてあげることが大切です。ここでは、初心者の方でも用意しやすい基本的な飼育設備をご紹介します。
1.水槽のサイズ
キボシイシガメはコンパクトなサイズのカメですが、とても活発に動く種類です。ゆったりと過ごせるように、最低でも60cm以上の水槽を用意しましょう。
広めの水槽にすることで、運動不足やストレスを防ぐことができ、のびのびとした毎日を過ごさせてあげられます。
将来的にレイアウトを変えたいときにも対応しやすいので、少し余裕のあるサイズを選んでおくと安心です。
2.水の深さ
キボシイシガメは半水棲で、泳ぎはあまり得意ではありません。一番深くても20cmでスロープなどは必須とされています。
特に子ガメのうちは、ひっくり返ってしまうと自分で起き上がれないこともあるので、浅めの水深からスタートして、成長にあわせて少しずつ深くしていくと安心です。
また、水と陸を行き来しやすくするために、傾斜をつけたスロープを設置してあげると快適に過ごせます。
3.陸地(バスキングスペース)
キボシイシガメは水の中だけでなく、陸に上がって日光浴(バスキング)する時間もとても大切です。紫外線を浴びることで、甲羅や骨の健康を保つことができます。
水槽の中に、全体の1/3ほどを目安に陸地スペースを作ってあげましょう。流木や岩、専用のバスキング台を使い、登りやすい傾斜にしておくとカメも安心して上がれます。
4.フィルター(ろ過装置)
カメはエサを食べると水が汚れやすく、水質が悪化すると病気の原因になってしまいます。半水棲の亀を飼うほとんどの人が換水によって管理しています。ろ過装置を使うのは水の汚れるスピードが早く、初心者には難しいので注意しましょう。
ろ過能力が高く、水流が強すぎないタイプを選ぶとよいでしょう。水全体がまんべんなく循環するように、フィルターの置き場所にも工夫が必要です。
キボシイシガメを飼育するうえで、水質の管理はとても大切です。水が濁ってきたと感じたら早めに部分換水を。ろ過フィルターだけに頼らず、定期的な掃除も心がけましょう。
キボシイシガメのエサについて
キボシイシガメは雑食性のカメで、動物性のたんぱく質と植物性の食べものをバランスよく与えることが大切です。健康に育てるためには、毎日のごはんに少し工夫をしてあげましょう。
1.主食にはカメ用の人工飼料がおすすめ
基本のエサには、市販のカメ用ペレットや配合飼料を使うのが安心です。これらの人工飼料には、キボシイシガメのような半水棲のカメに必要な栄養素がバランスよく含まれており、主食としてぴったりです。毎日同じフードでも、健康に育てるには十分な栄養をカバーしてくれる優れものです。
2.動物性たんぱく質も取り入れて
栄養にバリエーションを持たせるために、動物性のエサもときどき取り入れましょう。たとえば、小さな魚(メダカやドジョウ)、冷凍赤虫、乾燥エビなどがおすすめです。
また、脂肪の少ない鶏のササミやレバーなども、ごく少量なら与えてOKです。特に成長期の子ガメには、動物性たんぱく質がとても大切です。
生き餌は食いつきが良く、自然に近い食事体験ができるので、幼体にはおすすめ。ただし、水が汚れやすくなることもあるので、人工飼料と組み合わせて、バランスを見ながら与えると良いですね。
3.青菜や水草などの植物性の食材もプラス
動物性のエサばかりでなく、植物性の食材も忘れずに取り入れましょう。たとえば、小松菜やチンゲン菜、サニーレタスなどのカルシウムを多く含んだ青菜は、週に数回あげると、甲羅や骨の健康維持に役立ちます。
また、バナナやリンゴなどの果物をごほうび感覚で少しだけ与えるのも良いですね。水草のホテイアオイなども食べてくれることがあります。
とはいえ、ホウレンソウのような灰汁(あく)が強い野菜は避けた方が無難です。カルシウムの吸収を妨げる恐れがあるため、与えないようにしましょう。
エサの与え方と頻度の目安
エサをどれくらい、どんなタイミングで与えればいいのかは、キボシイシガメの健康を保つうえでとても大切なポイントです。
年齢や成長段階によって、必要な量や頻度が変わってきます。ここでは、エサを与えるときの目安や工夫について、わかりやすくご紹介します。
1.どのくらいの頻度で与える?
キボシイシガメは、年齢によってエサの頻度を変える必要があります。
- 子ガメ(幼体)の時期は、成長に多くの栄養が必要なので、毎日1回しっかりとエサをあげましょう。
- 大人のカメ(成体)になったら、2〜3日に1回程度で十分です。食べすぎは肥満や水質悪化の原因になるので、控えめに。
2.エサの量はどれくらい?
エサの量は、目安として「数分で食べきれる量」や「カメの頭の大きさの1〜3個分」がちょうどよいとされています。与えすぎないように気をつけましょう。
成長期のカメには少し多めでも構いませんが、食べ残しはすぐに取り除くようにして、清潔な環境を保つことが大切です。
エサの与え方の工夫
キボシイシガメには、いくつかのエサのあげ方があります。どの方法にもメリット・デメリットがありますので、カメの性格や水槽の状況にあわせて使い分けてみましょう。
1. 撒き餌(まきえ)
水の中にエサをパラパラとまく方法です。カメの狩りの本能や好奇心を刺激できるため、食欲が出やすいのがメリットです。ただし、食べ残しが水の中に残りやすいため、こまめに掃除が必要になります。
2. 置き餌
エサ皿などに乗せて与える方法で、管理がしやすく、水を汚しにくいのが特徴です。人工飼料や野菜類を与えるときに便利です。
3. ピンセット給餌
ピンセットで直接エサをつかんで与える方法です。慣れてくると、カメが飼い主の手元に寄ってくるようになります。信頼関係を深めるコミュニケーション手段としてもおすすめです。特に個体差がある性格の子には、この方法で安心感を与えることができます。
カメの食欲が落ちてきたときは、水温が低くなっていないかチェックしてみましょう。水温が低いと代謝が下がり、食欲も落ちやすくなります。水温は25〜28℃を目安に、ヒーターなどで調整してあげてください。
ワンポイントアドバイス
飼育時の注意点と法律について
キボシイシガメは、野生下での個体数が減っており、2013年にはワシントン条約に登録されました。これにより、国際的な商取引には制限がかかっています。
日本国内で飼う際は、合法的に入手された個体であることがとても重要です。信頼できる販売店やブリーダーから迎えましょう。
また、オスとメスを一緒に飼うと、繁殖期にオスがしつこく追いかけてしまうことがあるため、相性をよく確認するか、単独飼育がおすすめです。
まとめ
キボシイシガメは、美しい見た目と親しみやすい性格が魅力の水棲カメです。しっかりとした設備と食事の管理ができれば、初心者の方でも安心して育てることができます。
カメとの暮らしは毎日のちょっとした工夫やお世話の積み重ね。水質や温度の管理を忘れず、声をかけたり観察したりしながら、ゆったりとした時間を一緒に楽しんでくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました☺