リクガメ飼育完全版!初心者向け基本と失敗しないコツ

リクガメは、その穏やかな性格と愛らしい姿で多くの人に愛されています。さらに、長寿であることから、長い時間をかけて信頼関係を築ける点も魅力の一つです。

しかし、犬や猫とは異なり、リクガメの飼育には特有の知識と準備が必要になります。「何から始めればいいのか分からない」「初心者でも飼えるの?」と不安に思っている方もいるでしょう。

この記事では、リクガメの特徴から飼育環境の整え方、食事や健康管理のポイントまで、初心者向けに分かりやすく解説します。リクガメと快適に暮らすための準備を、一緒に進めていきましょう。

リクガメとは?初心者が知っておくべき基礎知識

リクガメは完全に陸上で生活するカメで、水辺を好むミズガメとは異なり泳ぐことができません。主に乾燥地帯や草原地帯に生息し、昼行性のため日中に活動が活発になります。

寿命は長く、種類によっては30年から50年以上生きることもあり、一部の個体では100年近く生きることさえあります。そのため、一度飼い始めると長い付き合いになることを覚悟しておかなければなりません。

リクガメは基本的に草食性で、主食は野草や葉物野菜です。肉や魚を食べることはなく、消化のために繊維質が豊富な植物を摂取する必要があります。

リクガメを飼う前に、寿命の長さを考慮し、長期間世話ができる環境とライフスタイルを整えておくことが大切です。

初心者におすすめのリクガメの種類

リクガメにはさまざまな種類がいますが、初心者が飼育しやすいのは比較的小型で丈夫な種です。初心者が飼育しやすいのは以下の3種類です。

ヘルマンリクガメ

温厚で人に慣れやすく、小型で扱いやすい種類です。適応力があり、初心者向き。

  • 体長:15〜20cm
  • 適正温度:25〜30℃
  • 特徴:丈夫で育てやすい

ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)

乾燥に強く、寒さにも比較的耐えられる丈夫なカメ。小型で飼育しやすい。

  • 体長:15〜20cm
  • 適正温度:25〜35℃
  • 特徴:活発で好奇心旺盛

ギリシャリクガメ

美しい甲羅の模様が特徴。温和な性格で初心者にもおすすめ。

  • 体長:20〜25cm
  • 適正温度:25〜30℃
  • 特徴:湿度管理がやや重要

例えば「ヘルマンリクガメ」は温厚な性格で、人にも慣れやすく、適応力が高いため、初心者にも育てやすいと言われています。

「ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)」もまた丈夫で環境の変化に強く、乾燥地帯に生息することから比較的飼育が容易です。

一方、「ギリシャリクガメ」は美しい甲羅の模様が特徴で、適切な湿度管理が求められるものの、性格が穏やかで初心者にもおすすめできる種類のひとつです。

リクガメを迎える前に準備すべき環境

リクガメを健康に育てるためには、適切な飼育環境を整えることが何より重要です。まず、ケージは成体になると120cm×60cm以上の広さが必要になります。

小さいサイズのケージでは運動量が不足し、ストレスや健康問題につながるため、最初から広めのケージを用意するのが理想的です。

温度管理も欠かせません。ケージ内には、バスキングスポットと呼ばれる日向ぼっこができる場所を作り、そこでは35〜40℃を維持するようにします。

一方で、リクガメは自分で体温を調整するために涼しい場所も必要なので、クールゾーンは25〜28℃程度に保ちましょう。夜間は20℃以下にならないよう注意が必要です。

また、紫外線はカルシウムの吸収を助けるため、UVBライトを設置し、毎日10〜12時間点灯するようにします。床材にはココピートと砂を混ぜたものを使用すると自然に近い環境を再現でき、湿度管理も比較的しやすくなります。

必要な設備

  1. ケージ:成体では120cm×60cm以上の広さが必要
  2. バスキングライト:スポット温度を35〜40℃に保つ
  3. UVBライト:カルシウム吸収に不可欠(10.0以上の強度を推奨)
  4. 床材:ココピート+砂を混ぜると自然に近い環境を作れる
  5. 温湿度計:温度と湿度を常にチェック

UVBライトは見た目では劣化が分かりにくいですが、6ヶ月ごとに交換するのが理想です。長期間使用すると紫外線の効果が落ち、カルシウム不足による病気のリスクが高まります。

リクガメの食事と栄養管理

リクガメの食事は基本的に草食で、野草や葉野菜を中心に与えます。特にタンポポやクローバー、オオバコなどの野草は栄養価が高く、リクガメにとって理想的な食材です。

野菜では小松菜やチンゲンサイ、サラダ菜などが適しています。フルーツは嗜好性が高いですが、糖分が多いため、週に1〜2回程度に抑えましょう。

一方で、ほうれん草はシュウ酸が多くカルシウムの吸収を阻害するため控えるべきです。アボカドやネギ類も有害な成分を含むため、与えないようにしましょう。また、リクガメは動物性たんぱく質を必要としないため、肉や魚を与えることは避けるべきです。

主な食材のバランス

  • 野草(70%):タンポポ、クローバー、オオバコなど
  • 葉野菜(20%):小松菜、チンゲンサイ、サラダ菜
  • フルーツ(10%):イチゴ、パパイヤ(与えすぎ注意)
  • サプリメント:カルシウム剤を週2〜3回

与えてはいけない食材

  • ほうれん草(シュウ酸が多く、カルシウムの吸収を阻害)
  • アボカド(毒性あり)
  • ネギ類(貧血の原因になる可能性)
  • 動物性たんぱく質(消化不良を起こす)

日常のお世話と健康管理

リクガメの健康を維持するためには、日々の観察が欠かせません。朝は照明を点灯し、温度や湿度を確認してから餌を与えます。水は毎日新鮮なものに交換し、汚れたらすぐに取り替えることが大切です。

食後はリクガメの動きや排泄物をチェックし、異常がないか確認しましょう。また、週に一度はケージの掃除を行い、床材の部分交換やシェルターの清掃を行うことで、清潔な環境を維持できます。

体重測定を定期的に行い、記録をつけると成長具合や健康状態の変化を把握しやすくなります。

毎日のルーティン

  1. :照明を点灯し、温度を確認
  2. 水交換:新鮮な水を用意
  3. 食事:朝〜昼に与えるのがベスト
  4. 観察:甲羅の状態や排泄物をチェック
  5. :照明を消し、夜間の保温を確認

飼育にかかる費用

初期費用(50,000〜80,000円)

  • ケージセット:30,000円
  • 照明器具:15,000円
  • 床材・装飾:5,000円
  • 個体代:10,000〜30,000円

月々の維持費(5,000〜8,000円)

  • 電気代:2,000〜3,000円
  • 餌代:1,500〜2,000円
  • 床材交換:1,000円
  • 医療費(予備費):500〜2,000円

よくあるトラブルと対処法

症状考えられる原因対処法
目を開けない湿度不足・ビタミンA不足霧吹きを増やす、サプリメント追加
甲羅が柔らかいカルシウム不足・UVB不足UVBライト確認、食事改善
食欲不振低温またはストレス温度調整、環境の見直し

この図を参考に、対処法を試してみてください。

リクガメの成長記録をつけると、健康管理に役立ちます。体重の変化や食欲の有無を定期的に記録しておきましょう。

まとめ

リクガメの飼育は、犬や猫に比べると手間が少ないように思われがちですが、適切な環境を整え、日々の健康管理を怠らないことが長寿の秘訣です。特に、温度管理や紫外線、食事のバランスには十分注意し、リクガメが快適に過ごせる環境を作りましょう。

また、リクガメは長生きするため、迎え入れる前にしっかりと計画を立て、将来にわたって適切に世話ができるかどうかを考えることが大切です。焦らずに知識を深めながら、一歩ずつ準備を進めてください。

リクガメとの暮らしは、正しい知識と愛情があれば、きっと素晴らしいものになります。ぜひ、じっくりと準備を進めて、リクガメとの穏やかで楽しい時間を楽しんでください。

リクガメは長生きで手がかかる一方、正しく世話をすれば愛着が湧き、かけがえのない存在になります。最後までお読みいただきありがとうございました☺

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