エリマキトカゲの長寿の秘訣は?採取方法や生息について解説

まるで映画のワンシーンから飛び出してきたような、首まわりの大きなフリルを広げて走る姿で有名なエリマキトカゲ。

日本でもインパクトがある見た目から注目され、ペットとして人気を集めています。しかし、エリマキトカゲは、とても繊細な性格をしていて、体調管理や環境づくりには気をつけるポイントがいくつもあります。

この記事では、そんなエリマキトカゲの「寿命」や「長生きのコツ」を中心に、採取方法や生息地まで、初心者でも安心して育てられるように詳しく解説していきます。

エリマキトカゲの平均寿命はどれくらい?

エリマキトカゲは、環境がしっかり整っていれば平均で10年ほど生きるといわれています。お世話を丁寧に続けてあげれば、15年、20年と長生きする子もいます。

野生では、外敵に襲われたり病気になったりと過酷な環境で生きているため、どうしても寿命が短くなりがちです。しかし、家で大切に育ててあげれば、本来持っている力以上に元気で長生きできることもあります

長生きしてもらうためにまず大切なのは、ストレスをできるだけ減らすこと。あまり頻繁に触ったり、大きな音でびっくりさせたりしないように、落ち着ける静かな環境をつくってあげましょう。

それに加えて、温度や湿度の安定した管理紫外線ライトの使用栄養バランスのとれた食事も欠かせません。特に紫外線は、骨を健康に保つためにとても大切です。

そして、もうひとつ大切なのが日々のちょっとした変化に気づいてあげること。食欲が落ちていたり、いつもより元気がなかったり…。

そんなサインを見逃さないように、よく観察してあげてください。エリマキトカゲは言葉では伝えられませんが、仕草や表情でそっと教えてくれていることもあります。

優しく見守りながらお世話を続けることが、エリマキトカゲの健康と長生きにつながる -そんなふうに考えて接してあげると、お互いにとって素敵な時間が過ごせるはずです。

ストレスと病気にどう向き合う?

見た目は堂々としていて、勇ましい姿が印象的なエリマキトカゲですが、実はとてもナイーブで繊細な性格の持ち主です。

人懐っこく見えても、過度なスキンシップや、ケージを叩くような大きな音、急な動きなどに強いストレスを感じてしまうことがあります。

ストレスがたまると、ごはんを食べなくなったり、動かずにじっとしてしまうといった変化が現れます。慢性的なストレスは免疫力の低下を招き、さまざまな病気を引き起こす原因になるため注意が必要です。

大切なのは、無理に触れ合おうとせず、エリマキトカゲのペースに合わせて、静かにそっと見守ること。安心できる環境を整えることが、健康維持につながります。

病気を予防するためには、まずケージ内の清潔さを保つことが基本です。フンや食べ残しを放置すると細菌が繁殖しやすくなり、感染症のリスクが高まります。毎日の掃除と定期的な全体クリーニングを習慣づけましょう。

よくある病気として「脱皮不全」があります。これは湿度が不十分だったり、栄養不足だったりすると起こりやすく、指先や尾の先に古い皮膚が残ってしまうことがあります。

そのまま放置すると血行不良になり、壊死につながることもあるため注意が必要です。定期的に湿度をチェックし、脱皮期には浅い水容器や加湿器を活用するのがおすすめです。

もうひとつ注意したいのが「呼吸器疾患」です。ケージ内の温度差が激しかったり、湿度が低すぎると、くしゃみのような音を出したり、口を開けて呼吸するなどの症状が見られます。

重症化すると肺炎になり、命にかかわることもあるため、少しでも様子がおかしいと感じたら、早めに爬虫類を診られる動物病院で診察を受けるようにしましょう。

エリマキトカゲの健康状態を毎日観察する「日課」を作ると、小さな異変にも気づきやすくなります。餌を食べる様子、動き方、皮膚や目の状態などをチェックすることが、病気の早期発見につながります。

出典:Wikipedia

自然の中ではどこに住んでいるの?

エリマキトカゲは、オーストラリアの北部やニューギニアの南部など、あたたかくて乾燥した地域に暮らしています。

特にサバンナや、ユーカリの木がたくさん生えている風通しのよい林など、日当たりがよく、湿気の少ない場所を好みます。

反対に、じめじめした湿った森や、木の種類が少ない低い場所はあまり得意ではありません。また、草が少なくて地面が見渡せるような場所も、エサとなる虫などを見つけやすいため好まれる環境です。

こうした自然に近い環境をおうちの中でもできるだけ再現してあげることが、エリマキトカゲの健康を守るうえでとても大切です。

ケージの中には太陽の光の代わりになるライトをつけたり、登ったり隠れたりできるような枝やシェルターを置いたりして、のびのびと過ごせる空間をつくってあげましょう。

ケージの中に「高い場所」と「隠れられる場所」の両方を作ってあげると、エリマキトカゲは自分で快適な場所を選びながらリラックスして過ごせます。

飼うときに知っておきたい採取の話

リマキトカゲを飼う前に、知っておきたいのが「その個体がどこから来たのか」ということ。日本で売られているエリマキトカゲの多くはインドネシアから輸入されたものです。

というのも、原産地のオーストラリアやニューギニアでは、野生個体の捕獲や輸出が基本的に禁止されているためです。

近年ではインドネシアでも野生動物の保護が進み、採取が厳しく制限されるようになっています。そのため「繁殖個体」として販売されていても、実際には野生から捕まえられた個体が含まれていることもあるのです。

野生採取の個体は、人に慣れておらずストレスや体調不良を起こしやすい傾向があります。対して、正規に繁殖された個体は健康で人にも慣れており、飼いやすいというメリットがあります。

エリマキトカゲを迎えるときは、信頼できるペットショップやブリーダーを選ぶことが大切です。どこで生まれ育ったのか、背景がわかる個体なら、安心してお世話を始められます。ペットとの出会いを大切にするためにも、出自への配慮を忘れずに。

絶滅の心配はないの?

エリマキトカゲは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「低危険種(Least Concern)」とされており、現在すぐに絶滅する心配はないとされています。

それでも、一部の地域では森林の伐採や気候変動などの影響で、生息地が減っている可能性があります。

また、エリマキトカゲはペットとしても人気があるため、野生からの捕獲が行われることがあり、それが自然の個体数に影響を与えるおそれもあります。

特にインドネシアでは、エリマキトカゲが保護種に指定されており、法律で輸出や取引が制限されています。オーストラリアやパプアニューギニアでも、輸出は禁止されています。

飼育下での繁殖は難しく、「繁殖個体」として流通しているものの多くが実際には野生で捕まえられた可能性もあると言われています。

そのため、エリマキトカゲを飼うときは、どこでどのように育てられた個体なのか、しっかりと確認することが大切です。

エリマキトカゲがこれからも自然の中で元気に暮らしていけるように、私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、自然に優しい選択をしていきたいですね。

まとめ

エリマキトカゲは、しっかりと環境を整えてあげれば、10年以上、長ければ20年近くも一緒に暮らせる大切な家族になります。

温度・湿度・紫外線のバランスを考えたお部屋づくり、栄養のあるごはん、静かで安心できる毎日が、その長寿の秘訣です。

そして、野生動物をペットとして迎える責任も忘れずに。出どころのはっきりした個体を選び、エリマキトカゲがいつまでも元気に暮らせるようにしていきたいですね。最後までお読みいただきありがとうございました☺