ニホンヤモリの平均寿命は?失敗しがちな3つのポイント

ニホンヤモリ(Gekko japonicus)は、日本の家まわりでよく見かける小さな爬虫類です。夜になると、家の壁やガラス窓にピタッと張りついて、灯りに集まってきた虫をパクっと食べる姿がとても愛らしく、見かけるとなんだかホッとする存在です。

そんな身近なヤモリですが、最近では「ペットとして飼ってみたい」「家に住み着いた子をきちんと世話したい」という方も増えてきました。

この記事では、「ニホンヤモリの寿命ってどのくらい?」「どうしたら健康に長生きしてくれるの?」といった疑問にお答えしながら、飼育のポイントを解説していきます。

ニホンヤモリの平均寿命は?

ニホンヤモリの平均寿命は、おおよそ5〜10年とされています。ただし、これはあくまで目安で、飼育環境が整っていれば10年以上生きることも決して珍しくありません。

体長はおよそ10〜14cmほど。小さな体ですが、じつはとても丈夫で生命力があります。野生下では、さまざまな危険があるため寿命が短くなりがちですが、人の手で大切に育てれば、外国産の人気ヤモリと同じくらい、またはそれ以上に長生きしてくれることもあります。

野生と飼育下では寿命が違うの?

野生のニホンヤモリは、自然の厳しい環境の中で暮らしています。気温の急変や、天敵(鳥やネコなど)からの攻撃、エサ不足など、毎日がサバイバルです。そのため、命を落とすリスクも多く、なかなか寿命を全うできないこともあります。

一方、飼育下では、温度や湿度をコントロールでき、食事も安定して与えることができます。外敵もいない静かな環境で過ごせるので、ストレスも少なくなります。こうした整った環境の中では、元気にのびのびと暮らし、結果的に長生きすることが多いのです。

ニホンヤモリの繁殖方法とポイント

ニホンヤモリの繁殖は、春から夏にかけてがシーズンです。オスとメスの判別は、オスの尾の付け根の膨らみで見分けることができます。

繁殖期には健康なオスとメスを同じケージに入れ、隠れ家や登り木を用意してストレスを減らしましょう。

メスは1回に1〜2個の卵を壁やシェルターの隙間などに産み付けます。卵はそのままの場所で管理するのが理想ですが、移動する場合は向きを変えないよう注意してください。

親と同じケージに残すと踏まれることがあるため、卵だけ別のケースで管理すると安心です。卵は25〜28℃、湿度50〜80%の環境で管理し、通常60〜80日ほどで孵化します。

孵化したベビーはとても小さいので、湿度と温度をしっかり保ち、小型の昆虫を与えて育てましょう。繁殖には温湿度の管理と丁寧な観察が大切です。

ニホンヤモリの卵はとてもデリケートなので、移動させる場合は必ず卵の向きを変えず、できれば産み付けられた場所ごと静かに移しましょう。湿度が下がると孵化率が落ちるため、ケージ内の湿度管理もこまめに行うことが繁殖成功のポイントです。

出典:Wikipedia

冬眠は必要?寿命に影響ある?

ニホンヤモリは、日本に住んでいるため、冬になると動きが鈍くなります。ただし、クマのように完全な冬眠には入りません。飼育している場合は、無理に冬眠させなくても大丈夫です。

保温器具を使って、1年を通して25℃前後の温度を保つことで、体調を安定させることができます。

もし、冬眠をさせたいと考える場合は、しっかりした準備と観察が必要です。霧吹きや温度チェックは続けながら、少しずつ気温を下げて、慎重に進めましょう。

寿命を縮める原因とその対策

ヤモリと長く一緒に暮らすためには、病気の予防と日々の観察が欠かせません。特に、小さな異変にも早く気づいて適切に対応することが、寿命を延ばす大きなポイントになります。

ここでは、ヤモリによく見られる代表的なトラブルとその対処法について詳しく解説します。

1. クル病(代謝性骨疾患)

クル病は、ヤモリの健康を大きく損なう疾患のひとつです。主な原因はカルシウム不足やビタミンDの欠乏、リンの過剰摂取などで、これらの栄養バランスが崩れることで発症します。

壁を登れなくなったり、尾や脚が不自然に曲がったりする症状が見られ、次第に食欲が落ちて動きが鈍くなることもあります。

予防のためには、餌にカルシウムパウダーを毎回まぶして与えることが基本です。さらに、紫外線ライトを使用するか、日光浴をさせてビタミンDを補いましょう。

市販のビタミンサプリメントを週に1~2回のペースで与えるのも効果的です。少しでも異常を感じたら、すぐに爬虫類に詳しい獣医師に相談することが大切です。

2. 脱皮不全

ヤモリは定期的に脱皮をしますが、環境が整っていないと皮がうまく剥がれず「脱皮不全」になることがあります。

原因としては湿度不足や栄養の偏り、ストレスなどが挙げられます。脱皮の皮が体に残っていたり、動きが鈍くなっているようであれば注意が必要です。残った皮が細菌感染を招くこともあります。

対策としては、ケージ内の湿度を50〜70%に保つよう心がけましょう。毎日霧吹きを行い、水滴を十分に供給することで、肌のうるおいを保てます。

もし皮が剥がれずに残っていた場合は、湿らせた布で優しくふき取るようにしましょう。

3. 脱水症状

ヤモリは見た目以上に水分が必要な生き物です。特に霧吹きを怠ったり、水皿が空のままになっていたりすると、簡単に脱水症状を起こします。

活動量が極端に低下したり、食欲がなくなったり、皮膚が乾燥してカサついている場合は、脱水のサインかもしれません。

予防のためには、毎日しっかりと霧吹きをして、湿度を保つことが必要です。また、清潔な水を入れた水皿を常にケージ内に置き、水分を摂取できる環境を整えましょう。

これらの病気やトラブルは、日々の観察と正しい飼育環境の維持によって未然に防げることがほとんどです。ヤモリが快適に暮らせるよう、こまめなケアと適切な知識を心がけましょう。

4.ストレスと感染症

急な引っ越し、騒がしい環境、過度なハンドリングは、ヤモリにとって大きなストレスになります。また、ヤモリはびっくりすると尻尾を自分で切る(自切)こともあります。

これは命を守るための本能ですが、そのあとに感染症になるリスクもあるため注意が必要です。ケージ内を静かで清潔に保ち、ヤモリが安心できる暮らしを整えることがとても大切です。

飼育初心者がつまずきやすいポイント

ニホンヤモリを初めて飼う方にとって、最初の1か月はとても大切な期間です。この間に適切な環境づくりができていないと、ヤモリが体調を崩してしまうことがあります。

ここでは初心者がよく直面する悩みと、スムーズに飼育をスタートさせるためのアドバイスを紹介します。

1.夜になると全く動かないけど大丈夫?

ニホンヤモリは夜行性のため、日中はほとんど動かず、物陰に隠れてじっとしています。夜になっても活動が見られない場合は、温度が低すぎたり、ストレスを感じている可能性があります。

解決法
・温度が25℃前後に保たれているか確認
・ケージの設置場所を静かな部屋にする
・ライトの点灯時間を見直す(夜間は真っ暗に)

2.餌を食べない…

飼い始めのヤモリが餌を食べないのは珍しくありません。新しい環境に慣れていないため、警戒しているのです。

解決法
・無理にハンドリングしない
・夜間にそっとコオロギなどの餌を入れておく
・食べ残しは翌朝に必ず取り除く

3.ケージ内がすぐ乾燥する

乾燥はヤモリにとって大敵。湿度が低いと脱皮不全や脱水の原因になります。

解決法
・霧吹きは朝と夜の1日2回
・ケージ内に水を含んだミズゴケを置くと湿度が安定
・部屋のエアコンや暖房が直接当たらない場所にケージを置く

ヤモリはしゃべりませんが、行動や体の色、食欲などをよく見ていると、ちょっとした変化に気づくことができます。

初心者ほど「構いすぎ」になりがちですが、ヤモリは基本的に静かな環境を好む生き物です。お世話の時間以外はあまり構わず、そっと見守ることが、信頼関係を築く第一歩になります。

まとめ

ニホンヤモリは、小さくてとても可愛らしい存在です。体は小さくても、とても丈夫で賢く、人にもなじみやすいペットです。

毎日のお世話や観察、愛情をこめたケアを続けることで、10年以上の長寿も夢ではありません。ヤモリと一緒に過ごす毎日が、癒しと喜びをもたらしてくれるはずです。最後までお読みいただきありがとうございます☺