道端や公園の水辺でカメを拾い、お子さんが「飼いたい!」と言い出して困った経験はありませんか?しかし、拾ったカメをそのまま飼うのは危険や問題があることも。
この記事では、拾った直後の正しい対応から、家庭での飼い方の基本、注意すべきリスク、飼えないときの選択肢までをわかりやすく解説しています。
初心者の方でも安心して読めるように、分かりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね!
カメを拾ったら、最初にすべきことは?

道端や水辺でカメを見つけたとき、子どもは「飼いたい!」と言いがち。しかし、野生のカメをそのまま触ったり持ち帰ったりすると、カメの命や人間の健康に影響を及ぼす場合も。
まずは落ち着いて、一時的に安全を確保する方法を知っておきましょう。
すぐにできる!カメの安全な一時保護
拾ったカメをすぐに水に戻したり、食べ物を与えたりする必要はありません。大切なのは安全に落ち着ける場所を用意すること。
道路や人通りの多い場所で見つけた場合は、優しく持ち上げて安全なところに移動させましょう。家庭に持ち帰る場合は、一時保護用にケースや段ボール箱を使います。
通気性を確保し、乾燥防止に湿らせた新聞紙やタオルを敷いておくと安心です。直射日光や冷暖房の風が直接当たらない場所に置き、ストレスを最小限に抑えることがポイントです。
一時保護の際に使える一覧をまとめました。
項目 | 使用例 | ポイント |
容器 | プラスチックケース、段ボール | 脱走できない高さ、通気孔を確保 |
敷材 | 新聞紙、キッチンペーパー | 湿らせて乾燥防止、清潔に保つ |
水 | 浅い皿に水 | 全身が浸かる程度、溺れない浅さ |
隠れ家 | 植木鉢の破片、簡易シェルター | 隠れる場所を与えると安心 |
温度 | 室内の安定した環境 | 直射日光やエアコンの風を避ける |
カメを持ち上げるときは甲羅の横を両手で支えましょう。しっぽや手足を持つとケガやストレスの原因になるので要注意!
拾ったカメを飼う前に知っておきたいこと

「かわいいから飼いたい!」と思うのは自然なことですが、拾ったカメをそのまま飼うには大きな責任が伴います。
カメが外来種なのか在来種なのか、健康状態はどうか――
飼育を始める前に確認すべき大切なポイントをまとめました。
外来種か在来種かを見分けよう!
拾ったカメが外来種である場合、法律で飼育が禁止されていることもあります。
ミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)は「条件付特定外来生物」に指定され、新規の生体購入や野外放流は禁止されています。
一方、ニホンイシガメやクサガメといった在来種も、自然界からむやみに持ち帰ることは生態系への影響につながります。種類の判別が難しいときは、自治体や専門機関に確認を依頼しましょう。
代表的なカメの在来種と外来種の違いをまとめています。
種類 | 特徴 | 法的扱い |
ニホンイシガメ | 茶褐色の甲羅、優しい顔つき | 在来種。捕獲や飼育は要注意 |
クサガメ | 黒っぽい甲羅、首に黄色い筋模様 | 在来種。安易な持ち帰りはNG |
ミシシッピアカミミガメ | 幼体は緑色、耳に赤い斑点 | 条件付特定外来生物 新規購入による飼育は禁止 |
カミツキガメ | 大型で顎の力が非常に強く、噛まれると大ケガの危険 | 特定外来生物 飼育・譲渡・放流すべて禁止 |
カメの飼育による病気や細菌のリスク
野生のカメは、一見元気そうに見えても寄生虫や病原菌を持っている可能性も。サルモネラ菌は人間に感染すると下痢や発熱を引き起こし、子どもや高齢者は重症化する恐れもあるのです。
拾ったカメを飼うと決めた場合は、まず動物病院で健康チェックを受けるのが理想。甲羅に傷がある、目が腫れている、動きが鈍いといった症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
飼う前に考えたい「命を預かる責任」
カメは10年、20年と生きる長寿の動物です。小さな子ガメも、成長すると大きくなり、広い飼育スペースや十分な管理が必要になります。
子どもの「飼いたい!」という気持ちだけで安易に決めてしまうと、後々手放すことになりかねません。拾ったカメを飼うかどうかは、家族で話し合い、最後まで責任を持てるかどうかをよく検討しましょう。
ミドリガメとして馴染みのあるミシシッピアカミミガメは、成長すると30cm近くに!飼い始めは小さくても「長生きで大きくなること」を忘れずに。
これだけは揃えたい!カメの飼育グッズ

拾ったカメを家庭で飼うと決めたら、まずは環境を整える必要があります。
カメが快適に暮らせる場所を用意しないと、すぐに体調を崩してしまうことにもつながります。最低限そろえるべき飼育用品を確認してみましょう。
水槽には陸地スペースを用意しよう
カメは泳ぐ場所と体を乾かす場所の両方が必要です。水槽は甲羅の大きさの3〜5倍の幅があるものを選び、余裕のある広さを確保しましょう。
陸地はレンガや専用の浮島を置いて、全身を水から出せるようにします。カメは成長して大きくなるため、初めから少し大きめの水槽を選んでおくと安心ですよ。
カメの水槽は広さが重要。甲羅の3倍の幅・2倍の水深が理想です。最初に大きめを選んでおくと、後で買い替えずに済みますよ!
水をきれいに保つ!ろ過と水換えの工夫
水中で排泄するカメにとって、水質の悪化は健康を大きく損ねる原因となります。水槽には必ずフィルターを設置し、水をきれいに保ちましょう。
ただし、フィルターだけに頼らず、週1回程度は水を全換えし、部分的な水換えはさらに頻繁に行うと安心です。
カルキ抜きをした水を使うことや、急激な温度変化を避けることも大切なポイントです。
紫外線ライト&ヒーターでカメの健康を維持
カメの甲羅や骨を丈夫に保つには、紫外線を浴びる必要があります。室内で飼育する場合はUVBライトを設置し、1日10〜12時間照射するのが理想です。
また、変温動物であるカメは水温や体温を保つためにヒーターも必要です。水温は25℃前後を目安に安定させましょう。特に冬場や寒い地域に住んでいる場合は、必須の設備となります。
カメの飼い方と日々のお世話のポイント

カメは環境さえ整えば飼いやすい生き物ですが、日々の世話を怠ると病気やストレスにつながります。
エサや水換えなどの基本的なケアを理解し、長く健康に育てられる習慣を身につけましょう。
エサの選び方と与え方の基本
基本は市販のカメ専用フードで十分です。これに加えて小松菜などの葉野菜や乾燥エビを副食として与えると栄養バランスが整いますよ。
ただし、人間の食べ物やネギ類・乳製品はカメにとって有害なので絶対に避けてください。子ガメは毎日、成ガメは2〜3日に1回を目安に、数分で食べきれる量を与えるのがポイント。食べ残しはすぐに取り除き、水質悪化を防ぎましょう。
水換えと掃除で清潔な環境をキープしよう
カメは水中で排泄するため、水はすぐに汚れます。部分的な水換えは2〜3日に1回、週に1回は水槽を丸洗いするイメージで管理しましょう。
ろ過フィルターを併用すればメンテナンスは楽になりますが、フィルター自体の清掃も忘れないようにしてください。洗剤はカメにとって有害なので使用せず、水だけで洗うのが基本です。
飼えないときはどうする?困ったときの相談先

事情があって飼育を続けられない場合でも、無責任に手放すのは絶対にやめましょう。外来種のカメは、自然に戻すことが法律で禁じられている場合もあります。
飼えなくなったときにどうすればよいか、正しい選択肢を知っておきましょう。
放すのはNG!自然に戻すと危険な理由
拾ったカメをそのままどこかへ放流するのは、生態系に悪影響を及ぼす可能性が高いため避けてください。特にミシシッピアカミミガメは「条件付特定外来生物」に指定されており、放流は違法行為です。
在来種でも、健康状態が不明な個体を自然に戻すと、病気を広めてしまうリスクがあります。どんな種類でも「元の場所へ返すこと」を安易に考えず、専門機関に相談しましょう。
責任を果たすために。相談できる主な窓口
どうしてもカメを飼えなくなった場合は、まずは地域の動物愛護センターや自治体の窓口に連絡するといいでしょう。爬虫類を診察できる動物病院や、専門の保護団体に相談できるケースもあります。
ただし、すべての施設が受け入れ可能とは限らず、費用がかかる場合も。事前に電話や公式サイトで確認しておくと安心です。
カメの飼育を通して学ぶ“命の大切さ”

子どもと一緒にカメを育てることは、ただ飼育するだけでなく「命の大切さを学ぶ機会」になります。
家庭でできる工夫を通じて、カメと安全に関わりながら、子どもの成長にもつなげていきましょう。
家族で命を預かる責任を学ぼう
カメは10年以上生きる長寿の生き物です。「飼う=最後まで面倒をみること」と教えることが大切です。毎日のエサやりや水換えは手間がかかりますが、それを続けることで命を守る責任を実感します。
家族で役割を分担し、親も一緒にお世話する姿を見せることで、子どもは自然に責任感を学ぶことにつながりますよ。
カメの観察や記録で学びにつなげる
カメの食事や行動を観察し、ノートや絵で記録することは、自由研究や日々の学びに役立ちます。「今日はたくさん泳いでいた」「エサを残した」など小さな変化を残す習慣は、カメの健康管理にもつながります。
親子で一緒に観察日記をつければ、自然や生き物への理解も深まり、子どもの探究心を育む良いきっかけになります。
拾ったカメと豊かに過ごすために
カメを拾ったときは、まずは安全に一時保護し、種類や健康状態を確認することが重要です。
もしもカメを飼う選択をした場合は、水槽や紫外線ライトなど適切な環境を整え、毎日の世話を続ける覚悟を持ちましょう。事情により飼えない場合は、自然に戻さず自治体や専門機関へ相談を。
命を預かる責任を家族で共有し、正しい知識と準備でカメとの安全な暮らしを楽しんでくださいね。