カエルの鳴き声には意味がある?種類別の特徴と飼育時の注意点

夜の田んぼや雨上がりの公園で、どこからともなく聞こえてくるカエルの鳴き声。「ゲコゲコ」と響くあの声には、実はしっかりとした“意味”があります。

オスがメスを呼ぶための求愛の声であったり、縄張りを主張する警告の声であったり――。季節や環境によっても鳴き方が変わり、種類ごとに音の高さやリズムにも個性があります。

この記事では、カエルがなぜ鳴くのか、その理由や種類別の鳴き声の特徴をわかりやすく解説します。また、飼育中に鳴き声がうるさいときの対処法など、飼い主さんが知っておきたいポイントも紹介。

鳴き声の意味を理解することで、カエルとの暮らしがより身近で楽しいものになるはずです!

カエルはなぜ鳴くの?鳴き声に込められた意味

春から夏にかけて耳にするカエルの合唱。実はあの鳴き声、ただの“声”ではありません。カエルにとって鳴くことは、生きるための大切な行動です。

ここでは、オスだけが鳴く理由や、鳴くタイミングに隠された意味をやさしく解説します。

オスだけが鳴く理由

カエルの鳴き声は、ほとんどがオスによるものです。最大の目的は繁殖期の求愛行動。オスは自分の健康状態や強さをアピールするために鳴き、メスはその声を頼りに相手を選びます。

さらに、オス同士の縄張り争いや警戒音として鳴くことも。喉元の「鳴嚢(めいのう)」を膨らませて声を響かせる仕組みになっており、この袋の大きさや構造で音の高さや響き方が変化します。

メスには鳴嚢がないため、基本的に鳴くことはありません。鳴き声の大きさや長さは、オスにとって“存在を示す武器”なのです。

鳴き声のタイミングと環境

カエルがよく鳴くのは、夜間や雨上がりです。湿度が高いほど鳴きやすく、夜は天敵に見つかりにくいため安全に繁殖活動を行えます。

特に春から初夏にかけては、繁殖期にあたるため鳴き声が最も活発になります。気温が20℃前後、湿度が高い環境は理想的な条件です。

また、雨や明かりの変化にも反応して鳴くことがあります。これは外敵への警戒や、仲間への合図の一種。カエルの鳴き声は、“今が活動に適した時期”だと知らせる自然のサインでもあるのです。

種類によって違う!カエルの鳴き声の特徴

一口に「カエルの鳴き声」と言っても、種類ごとに声の高さやリズム、鳴く目的はさまざまです。田んぼで響く声と、ペットとして飼われるカエルの声では印象も大きく異なります。

ここでは、日本でよく耳にする種類と、飼育される人気の種類の鳴き声を紹介します。

日本でよく聞くカエルの鳴き声

身近なカエルたちは、それぞれ個性的な鳴き声を持っています。下の表は代表的な種類と鳴き方の特徴をまとめたものです。

種類鳴き声の特徴鳴く目的・タイミング
ニホンアマガエル「ケロケロ」「クワックワッ」
高く澄んだ声
雨上がりや夜間
繁殖期にメスを呼ぶ
トノサマガエル「グワッグワッ」「ブーブー」
太く低音
水辺での縄張り主張や求愛
シュレーゲルアオガエル「コロコロ」「キュルルル」
鈴のように響く声
樹上や草むらで夜間に鳴く
ツチガエル「グッグッグッ」「ギューギュー」
濁った声
威嚇や警戒時にも鳴く

同じ「カエルの合唱」でも、耳を澄ませば音の高さやテンポが異なることがわかります。

それぞれが仲間にだけ伝わる“合図”として鳴いている場合も!

ペットとして人気のカエルの鳴き声

飼育されるカエルの鳴き声は、野生種よりも静かで控えめなものが多いですが、種類によって特徴が異なります。発情期や威嚇時など、鳴くタイミングもそれぞれ違います。

種類鳴き声の特徴鳴くタイミング・理由
ベルツノガエル/クランウェルツノガエル「ブーブー」「ギューギュー」と低く短い声求愛・威嚇・ストレス時など
アフリカツメガエル水中で「クックックッ」とクリック音のように鳴く発情期やメスへのアピール
アカメアマガエル「カックカック」と小さく軽い声夜間の求愛行動中に鳴く
イエアメガエル「クックックッ」とリズミカルな声飼育下でも比較的よく鳴く種類

同じカエルでも環境や温度によって鳴き方が変わることも。「最近よく鳴くな」と感じたときは、繁殖期の兆しか、環境に反応しているサインかもしれません。

飼育中にカエルが鳴くときの対処と工夫

カエルを飼っていると、夜に鳴き声が響いて驚くことがあるかもしれません。けれど、それは健康に暮らしている証拠。

ここでは、飼育中にカエルがよく鳴く理由と、静かに過ごすための環境づくりのポイントを紹介します。

飼育環境によって鳴きやすくなる条件

飼育中のカエルがよく鳴くのは、環境の変化や刺激に反応している場合が多いのです。温度が高く湿度も十分にあると、野生の繁殖期と同じ条件になり、活発に鳴くようになります。

ケージが明るすぎる、照明時間が長い、水質が悪化しているなどもストレスの要因です。また、ガラス越しに自分の姿や周囲の影を見て“ほかのカエル”と勘違いし、鳴き続けることも。静かに過ごしてもらうには、まず温度・湿度・照明などを整えることが大切です。

鳴き声は飼育環境の「快・不快」を知らせるサイン!

夜に鳴く理由と対策

カエルは夜行性のため、夜になると活動が活発になります。そのため、夜間に鳴くのは自然な行動です。

とはいえ、生活に支障が出るほど鳴き続ける場合は、環境を少し調整しましょう。ケージを寝室から離れた場所に移動する、厚手の布や防音シートで音を軽減するなどの対策が有効。

ただし、通気性を確保しないと酸欠になるおそれがあるため、覆いすぎには注意が必要です。また、夜は照明を落とすことで、カエルの体内時計を整え、落ち着かせる効果もあります。

鳴き声をやめさせてはいけない理由

カエルの鳴き声を無理に止めようとするのは禁物です。鳴くことは健康である証拠であり、繁殖や縄張り維持などの自然な行動だからです。

音を嫌がって刺激を与えたり、ケージをたたいたりすると、強いストレスを感じて体調を崩す原因になります。もし突然鳴かなくなった場合も注意が必要。環境悪化や病気のサインであることもあります。

鳴き声を「うるさい」と捉えるのではなく、カエルからのサインとして受け止める姿勢が大切です。

冬にカエルは鳴くの?鳴き声が聞こえる理由

寒くなると、あれほど賑やかだったカエルの声が聞こえなくなります。これは、カエルが寒さから身を守るために冬眠に入るからです。

ただし、すべてのカエルが完全に沈黙するわけではありません。ここでは、冬に鳴く・鳴かないの違いと、飼育下での注意点を解説します。

冬眠中は基本的に鳴かない

カエルは変温動物のため、気温が下がると体温も下がり、活動ができなくなります。多くの種類は秋の終わりから冬にかけて、土の中や落ち葉の下、水底などに潜って冬眠します。

冬眠中は代謝が大幅に低下し、心拍数や呼吸数も最小限に。繁殖行動を行わないため、基本的に鳴くことはありません。

このため、冬の屋外でカエルの声を聞くことはほとんどなく、春に気温が上がるとともに再び活動を始めます。

室内飼育で冬も鳴くケース

室内で飼っているカエルは、加温や照明の影響で一年中快適な環境が保たれています。そのため、外の季節感を感じにくく、「春が来た」と勘違いして鳴くことがあります。

特に25℃前後の暖かい部屋では、発情期と同じ条件が整い、オスがメスを呼ぶように鳴くケースも。また、南西諸島など一年を通して暖かい地域では、野生のカエルが冬でも鳴くことがあります。

温度や日照が活動のスイッチになっているため、環境次第で冬に声を聞くこともありますよ!

冬に鳴くときの注意点

冬にカエルが鳴くのは、環境が暖かすぎたり、照明時間が長いことによる体内リズムの乱れが原因のこともあります。冬眠すべき時期に活動を続けると、体力を消耗して弱ってしまうおそれがあります。

冬に鳴き声が増えた場合は、室温を少し下げる、照明時間を短くするなどして自然に近いサイクルを保ちましょう。

冬でも鳴くこと自体は異常ではありませんが、「落ち着かない鳴き方」をしているときは、環境ストレスが考えられます。カエルの飼育環境を見直して、落ち着けるように整えてあげましょう。

鳴き声の意味を知ると、カエルとの距離が近づく

カエルの鳴き声には、求愛・縄張り・警戒といった明確な意味があります。種類によって声の高さやリズムが異なり、鳴くタイミングも気温や湿度などの環境に左右されます。

冬は多くのカエルが冬眠して鳴きませんが、室内で飼育している場合は例外もあり、環境によっては冬でも鳴くことがあります。

飼育中に鳴き声が気になるときは、温度や照明、水質を見直し、カエルが安心して過ごせる環境を整えましょう。鳴き声を無理に止めようとするのではなく、「健康で元気に暮らしているサイン」として受け止めることが大切です。

鳴き声の意味を知ることで、ただの“鳴き声”がカエルからのメッセージに変わり、観察する楽しみや愛着がより一層深まるでしょう。

ゆかりーぬ

動物系ライター ゆかりーぬ レオパとニシアフの飼育を通じて、爬虫類の奥深さにどっぷりハマっています。初心者さんの「これって大丈夫?」に寄り添えるよう、リアルな飼育の工夫や気づきをシェアします。爬虫類との暮らしが、もっと身近で楽しくなるお手伝いができたら嬉しいです。

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