初めてカメの飼育をしていると、寒くなってきらた「カメは冬、どうしてるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
水の中でもじっと動かなくなったり、土の中に潜ってしまったりする姿を見ると、心配になりますよね。実は、カメの中には冬眠をする種類と、しない種類がいます。しかも、飼育下での冬眠には注意が必要で、正しい準備と環境が整っていないと命に関わることも。
この記事では、カメの冬眠の仕組みや判断基準、安全な準備方法、冬眠中・冬眠明けのケアまでをやさしく解説します。冬眠させるか迷っている飼い主さんも、読めば安心して冬を迎えられますよ。
カメに冬眠させる?正しい判断から始めよう

カメにとって冬眠は自然な行動のひとつですが、すべての種類が冬眠できるわけではありません。体力や環境を誤ると命に関わることもあります。
冬眠できる種類の見分け方や、メリット・デメリット、加温飼育という安全な代替方法までをわかりやすく紹介します。
あなたのカメは冬眠できる?判断の目安
冬眠できるかどうかは、種類・健康状態・年齢・環境の4つがポイントです。
冬眠に向いているのは、温帯地域原産の「ニホンイシガメ」「クサガメ」「ミドリガメ」など。一方で、「リクガメ」や「スッポンモドキ」など熱帯性のカメは冬眠せず、加温飼育が必要です。
| 判定ポイント | 冬眠できるカメの目安 |
| 種類 | イシガメ・クサガメなど温帯性 |
| 健康状態 | 傷や病気がなく食欲旺盛 |
| 年齢 | 成体(甲長10cm以上) |
| 環境 | 5〜10℃を安定維持できる場所 |
幼体や高齢個体、体調の悪いカメは冬眠NG。事前に動物病院で健康チェックを受けるのが理想です。
冬眠のメリット・デメリット
冬眠は自然のリズムに沿った行動で、繁殖の刺激やストレス軽減などのメリットがあります。しかし、飼育下では命を落とすリスクもあるため慎重な判断が必要です。
メリット
- 自然な生活リズムを維持できる
- 冬季の加温費を抑えられる
- 一部の種では繁殖を促す効果も
デメリット
- 体力消耗や病気悪化の危険性
- 温度・湿度管理が難しく失敗のリスクあり
- 目覚め後の体調不良に注意が必要
無理な冬眠は命を危険にさらすこともあるため、「冬眠できる環境・状態か」を最優先に判断しましょう。
冬眠させない選択肢!加温飼育という安心ルート
冬眠が難しい場合は、加温飼育を選ぶのも立派な判断です。ヒーターやライトを使って水温や気温を一定に保つことで、冬でもカメが元気に活動できる環境を整えられます。
目安としては、水温を25℃前後、バスキングスポット(甲羅干し用の場所)を30〜35℃程度に保つと安心です。この方法なら、幼体や高齢のカメ、病気を抱えている個体でも安全に冬を越せます。
また、冬眠中の安否を心配する必要がなく、飼い主がカメの健康状態を常に確認できる点も大きなメリット。ただし、ヒーターやライトを使用するため電気代や設備の維持費がかかる点には注意が必要です。
自然のリズムとはやや異なりますが、冬眠させないことはペットのカメにとって安全な選択肢です。
カメの冬眠準備|飼い主がすべきこと

冬眠はカメにとって大きな試練です。体調が整っていなかったり、環境が不適切だと命に関わる危険もあります。
冬眠前に行う健康チェック、冬眠に最適な環境作り、そして餌や水分の管理について、飼い主が必ず知っておきたい基本をまとめます。
健康なカメを見極めるポイント
冬眠に入る前に、まず健康状態をしっかり確認しましょう。痩せすぎや元気のなさがある場合は冬眠を避けるのが鉄則です。
チェックすべきポイントは「見た目・食欲・排泄・動き」の4つ。甲羅にひびや変形がないか、皮膚がただれていないか、目や鼻の分泌物がないかを確認します。また、食欲があり、便が正常であれば健康のサイン。
冬眠中は体力を使うため、体に十分な脂肪が蓄えられているかも重要です。心配な場合は、冬眠前に爬虫類対応の動物病院で健康診断を受けると安心ですよ。
異常がある場合は、無理に冬眠させず加温飼育に切り替えましょう。
カメの冬眠に適した環境の整え方
冬眠させる環境は、温度と湿度が安定し、静かで暗い場所が理想です。屋内なら物置や玄関の奥など、外気の影響を受けにくい場所を選びます。
容器は深さのある衣装ケースやプラ箱を使い、床材に腐葉土やヤシガラ土を15〜20cmほど敷き詰め、カメが潜れるようにします。床材は軽く湿らせ、5〜10℃の温度を保つのがポイントです。
屋外で冬眠させる場合は、池の底や落ち葉の下など、凍結しない深さを確保し、外敵が侵入しないようにネットで覆います。湿度が高すぎるとカビが生え、乾燥しすぎると脱水の危険があるため、適度な湿り気を保つことが大切です。
どちらの環境でも、温度計を設置して常に状態を確認できるようにしましょう。
冬眠前の餌と水分管理
冬眠前の食事と排泄の管理は、成功の鍵を握る大事なステップです。冬眠の2〜4週間前から徐々に餌の量を減らし、最終的には完全に与えるのをやめましょう。これは、消化器に残った餌が体内で腐敗するのを防ぐためです。
餌を止めた後は、水温を少し高め(25〜28℃)にして代謝を促し、排泄を完全に済ませます。温浴(ぬるま湯に10分ほど浸ける)を行うとより効果的。排泄が終わったら、数日間新鮮な水でしっかり水分を補給させ、脱水対策をします。
冬眠中のカメを安全に管理する

冬眠中のカメは、見た目こそ静かですが、体は非常にデリケートな状態にあります。温度や湿度が乱れるだけでも命に関わることがあるため、飼い主の見守りが欠かせません。
冬眠中の環境管理と、異常を発見した際の対処法をわかりやすく解説します。
温度と湿度の維持が成功のカギ
冬眠中の理想的な温度は5〜10℃程度。氷点下になると凍死の恐れがあり、10℃を超えると目を覚ましてしまうことがあります。
急な温度変化を避け、常に一定を保つことが大切です。屋内なら暖房の影響を受けない涼しい場所を選び、温度計で常時確認しましょう。
湿度は「乾燥しすぎず、湿りすぎず」がポイント。乾燥すると脱水を起こし、逆に湿度が高すぎるとカビや感染症の原因になります。床材(腐葉土・ミズゴケなど)は軽く湿らせ、手で握って水が滴らない程度が目安です。
霧吹きでの加湿も効果的ですが、頻繁に容器を開けすぎるとカメにストレスを与えるため注意が必要です。
冬眠中に起こる異常と対処法
冬眠中でも、ときどき異変が起きていないか確認することが大切。
たとえば、カメが頻繁に動いたり、目を開けている場合は温度が高すぎる可能性があります。逆に体が硬く冷たい、異臭がする、体重が急に減っているといった場合は危険信号です。
まずは環境の温度と湿度をチェックし、異常があればすぐに調整します。ぐったりしている場合は、急激に温めずにぬるま湯(約25℃)に浅く浸けて体をゆっくり温め、水分を補給させましょう。
それでも回復しない、または異臭や変色がある場合は、すぐに爬虫類を診られる動物病院に連れて行ってください。自己判断で無理な処置はせず、専門家の判断を仰ぐことが重要です。
冬眠失敗を防ぐための心得
カメの冬眠を成功させる最大のポイントは「無理をしないこと」です。健康状態が不十分なまま冬眠させたり、温度管理を怠ったりすると失敗のリスクが高まります。冬眠中はできるだけ静かな環境を保ち、容器を頻繁に開けないようにしましょう。
また、冬眠期間が長すぎると体力が消耗します。春先に気温が上がり始めたら、自然なタイミングで目覚めを促すのが理想です。環境の安定と観察を続けることが、安全な冬越しにつながります。
屋外で冬眠させる場合は、ネズミや猫などの外敵対策も忘れずに!
カメの冬眠明け!春のケアと注意点

長い冬眠を終えて春を迎えると、カメの体はまだ本調子ではありません。急な環境変化は体調を崩す原因になるため、目覚めのサインを見逃さず、少しずつ通常の生活に戻していくことが大切です。冬眠明けの観察ポイントとお世話のコツを紹介します。
春の目覚めのサインを見逃さない
春の気温が上がり始める3〜4月頃、カメはゆっくりと活動を再開します。土の中から顔を出したり、水面に浮かび上がったりする行動が見られたら、目覚めのサインです。
すぐに起こそうとせず、カメ自身のペースに任せましょう。活動が見られたら、室温を少しずつ上げ、徐々に日光浴を取り入れると代謝が安定します。
外気温が安定するまでの間は、屋内で管理しながら様子を見ると安心ですよ。
健康チェックと初期ケア
目覚めた直後のカメは体力が落ちています。甲羅や皮膚にカビ・傷・軟化がないか、目や鼻の腫れや分泌物がないかを確認しましょう。
冬眠中に体重が大きく減っていた場合は、脱水や栄養不足の可能性もあります。動きが鈍い、食欲が戻らないときなどは、早めに動物病院へ連れて行くことをおすすめします。
飼育容器や水槽は清潔な状態を保ち、新しい水をこまめに交換して病気を防ぎましょう。
餌やりと日光浴の再開
冬眠明けすぐは胃腸がまだ動いていません。無理に餌を与えず、水浴びや日光浴を行い、体温が上がってから少量ずつ与えましょう。
最初は消化の良い人工飼料ややわらかい野菜からスタートし、様子を見ながら量を増やします。水温は25〜28℃程度を保ち、活動が安定してきたら通常の飼育温度へ戻していきます。
日光浴は体を温め、カルシウム吸収を促すため、毎日15〜30分を目安に行うと効果的です。
冬眠の判断と準備を正しく行い、安全に春を迎えよう

カメの冬眠は自然な行動ですが、飼育下では健康状態や環境によってリスクが伴います。まずは「冬眠できる種類か」「健康で体力があるか」を見極めることが大切。
冬眠させる場合は、温度・湿度を安定させた環境を整え、静かに見守りましょう。異常が見られたらすぐに対処し、獣医師へ相談することも検討しましょう。
一方、冬眠に不安がある場合は、加温飼育という選択肢もあります。安全を最優先に考え、カメにとって最も穏やかに過ごせる方法を選ぶことが、飼い主としての責任。
正しい知識と準備で、あなたのカメが春を元気に迎えられるようサポートしてあげましょう。

