イシガメとクサガメの違いを簡単チェック!特徴&行動の見分け方

イシガメとクサガメは、日本の水辺でよく見かける身近なカメです。どちらもよく似ているため「これはどっちだろう?」と迷ってしまうこともあります。 

特に子どもの個体や、両者が交雑して生まれる「ウンキュウ」では判別が難しく感じることも。

この記事では、イシガメとクサガメを見分けるためのポイントをわかりやすく解説。見た目の特徴だけでなく、行動やにおいの違い、雑種との見分け方のポイントもご紹介します。

カメが好きな方はもちろん、自然観察が好きな方、これからカメの飼育を始めたいご家庭や一人暮らしの方にも役立つ内容です。

イシガメとクサガメの基本情報

ニホンイシガメは日本にもともと生息している在来種です。本州・四国・九州、そして一部の離島にまで広く分布しています。一方、クサガメは中国を原産とする外来種で、昔に人の手で日本に持ち込まれ、今では全国各地に定着しています。

どちらのカメも淡水を好み、池や川、用水路などでよく見かけます。ただ最近では、クサガメやイシガメとの雑種であるウンキュウが増えており、純粋なニホンイシガメの数は少なくなってきているのが現状です。

カメを見かける機会があっても、それがどちらなのか、あるいは雑種なのかを見分けるのは簡単ではありません。まずは「どちらが日本固有で、どちらが外来か」という基本を押さえておくと、観察や飼育の理解がぐっと深まります。

日本生まれのイシガメは貴重!外で見かける頻度が高いのはクサガメです。

行動や性格の違い

イシガメとクサガメは、行動や性格にも少し違いがあります。

イシガメは、性格がおだやかで慎重な個体が多いのが特徴です。自然下では水中に身を潜めてじっとしていることが多く、甲羅干しをしていても人の気配を感じるとすぐに水へ逃げ込みます。

飼育下でも慣れるまでに時間がかかることがありますが、少しずつ距離を縮めると、控えめながらも人によってくる姿を見せてくれますよ。

一方、クサガメは比較的活発で、人に慣れやすい傾向があります。、飼育していると、餌をもらえると学習し、飼い主の姿や足音に反応し、バタバタと泳いでアピールする姿が見られます。

自然下でも活発に動き回ることが多く、観察しやすい種類といえるでしょう。

甲羅と体の特徴で見分ける

イシガメとクサガメを見分けるとき、いちばんのポイントになるのが「甲羅の形」の違いです。

イシガメの甲羅には、背中の中央に「キール」と呼ばれる1本の筋があり、後ろの縁がギザギザとのこぎりのような形をしています。色は黄土色や明るめの茶色が多く、全体的にやわらかい色合いです。

一方クサガメには、中央に加えて左右にも筋があり、全部で3本のキールがあります。甲羅の後ろは丸くなっていて、色は黒っぽい茶色から赤みがかった茶色まで、個体によってさまざまです。成長するとオスは体全体が黒っぽく変化する「黒化(メラニズム)」が起こることがあります。

キールの本数を数えるのが、もっとも確実な見分け方です。1本ならイシガメ、3本ならクサガメ。この違いを覚えておくと、野外観察でも迷いにくくなります。お腹側の甲羅にも違いがあり、腹側を確認できる機会があれば、この色の差も識別のヒントになります。

イシガメの腹甲は真っ黒で模様がなく、シンプルな見た目です。対してクサガメの腹甲は白っぽい線や模様が入る個体が多く、中には淡い黄色やクリーム色をしたものも見られます。

頭部・首・四肢の模様の違い

イシガメとクサガメは、頭や首、手足の模様にも違いがあります。

イシガメのオレンジ模様

イシガメは首にほとんど模様がなく、四肢にはオレンジ色のすじ模様が入っているのが特徴です。顔まわりには模様があまり見られず、顔立ちは少しシャープな印象。特に手足にあるオレンジの模様は、ほかのカメと見分けるときの大きなヒントになります。

クサガメの黄色い線と黒化

クサガメは子どもやメスの首やほおに黄色い線のような模様が入り、顔全体がやや大きく見える傾向があります。

オスは成長すると模様がだんだん消えて、体全体が黒っぽくなる「黒化」が起こることも。クサガメの手足には、イシガメのようなはっきりしたオレンジの模様は見られません。

においで見分ける!クサガメ最大の特徴

クサガメの名前は、その独特のにおいに由来しています。危険を感じると、肛門腺から非常に強いにおいを発し、人間の鼻をつんと刺激するほどです。イシガメにはこのような習性がないため、「強烈なにおいがする=クサガメ」と判断できます。

飼育下ではこのにおいを出すことは少なくなりますが、野外で捕まえた際にはわかりやすい特徴です。

「くさいにおい」がしたらクサガメ確定!自然観察のときはそっと距離をとってくださいね。

意外とある?鳴き声や音

カメは「鳴かない」と思われがちですが、イシガメやクサガメも小さな音を出すことがあります。クサガメは驚いたときに「キュー」や「ヒュッ」と鳴くような声を出すことがあり、オスは交尾の際に甲羅をコツコツと当てて音を立てます。

イシガメは基本的に静かですが、まれにストレス時に「ピーピー」と鼻で鳴くような音を出すことがあります。いずれもごく小さな音なので、よく耳を澄ませると気づけるかもしれません。

雑種(ウンキュウ)と識別の難しさ

イシガメとクサガメは、自然の中で交雑することがあり、その子どもは「ウンキュウ」と呼ばれます。

ウンキュウは両方の特徴をあわせ持ち、甲羅のキールや模様、体の色などが中間的にになることが多いため、見分けが非常に難しいのが特徴です。

たとえば、甲羅の筋が2本に見えたり、体色がイシガメほど明るくなく、かといってクサガメほど黒くもない…といった中間的な姿をしています。そのため、見た目だけでどちらかを判断するのは困難。

野外で見かけるカメがウンキュウかどうかを見分けるには、においを出すかどうか、手足の模様、甲羅の形など複数のポイントをよく観察して、総合的に判断することが大切です。

飼育してわかる“あるある行動”とは?

実際にイシガメやクサガメをおうちで育ててみると、本や図鑑ではわからない、ちょっとした「あるある」な行動に気づくことがあります。

クサガメのオスはとっても元気!

クサガメのオスはとても活発で、飼い主の足音や冷蔵庫の開閉音に反応して動き出すことがあります。前足をバタバタさせて「ごはんちょうだい!」とアピールする姿はとてもかわいらしく、飼育している人なら思わず笑ってしまう行動でしょう。

イシガメは少し慎重な性格。

イシガメは臆病で慎重ですが、慣れてくると静かに近寄ってくるなど、おだやかで人なつっこい一面を見せます。最初は水中にこもりがちでも、時間をかけて信頼関係を築くことで、控えめなかわいらしさを感じられますよ。

クサガメの方が「脱走名人」

クサガメは「脱走名人」と呼ばれるほど行動力があり、ケースのふたが甘いとよじ登って外に出てしまうことがあります。イシガメはそこまで活発ではありませんが、じわじわと探検範囲を広げることがあり、油断は禁物です。性格には個体差がありますが、こうした行動の違いを知ると、カメとの暮らしがさらに楽しく感じられるでしょう。

実際に一緒に過ごしてみると、それぞれの個性にどんどん愛着がわいてくるはず!

今後の識別や保全への意識も大切に

最近では、日本の在来種であるニホンイシガメが数を減らしているといわれています。その背景には、外来種であるクサガメの増加や両者の交雑によって生まれるウンキュウの存在があります。

純粋なイシガメが少なくなれば、日本固有の生態系に影響が出る可能性も心配されています。自然の中でカメを見つけたときは、むやみに捕まえたり持ち帰ったりせず、そっと観察することが大切です。

また、飼育する場合も最後まで責任を持ち、決して川や池に放さないことが基本です。身近なところでカメを大切にする姿勢が、イシガメを守る第一歩になります。

特徴を知れば、もう迷わない!イシガメとクサガメ

イシガメとクサガメを見分けるときは、甲羅のキールがもっともわかりやすいポイントです。さらに、四肢のオレンジ模様や首の黄色い線、腹甲の色、においの有無など、複数の特徴を組み合わせて観察すると識別がしやすくなります。

ただし、イシガメとクサガメのの交雑であるウンキュウも存在するため、100%確実に見分けるのは難しいことも。カメを観察することは、身近な自然に目を向けるきっかけにもなります。

飼育する場合も、自然で出会う場合も、それぞれの個性を大切にしながら付き合っていきましょう。日本の在来種イシガメを守るためにも、観察や飼育のなかで「正しく見分ける意識」を持つことが大切です。

ゆかりーぬ

動物系ライター ゆかりーぬ レオパとニシアフの飼育を通じて、爬虫類の奥深さにどっぷりハマっています。初心者さんの「これって大丈夫?」に寄り添えるよう、リアルな飼育の工夫や気づきをシェアします。爬虫類との暮らしが、もっと身近で楽しくなるお手伝いができたら嬉しいです。

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