ミルキーフロッグは見た目のかわいさと珍しさから人気がありますが、毒性を持つ分泌液にも注意が必要です。本記事では、ミルキーフロッグの基本情報から飼育環境の作り方、安全に飼うためのポイントまでをまとめています。
ミルキーフロッグの飼育を検討している方に向けて、この記事ではその魅力と注意点を初心者にもわかりやすく解説します。これからミルキーフロッグの飼育を検討している方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ミルキーフロッグとは?不思議な見た目のカエル

ミルキーフロッグは、南米アマゾン川流域に生息する樹上性のカエルです。白っぽく青みがかった体色とつぶらな黒い目が特徴で、その可愛らしい見た目からペットとしても人気があります。
夜行性で、日中は木の葉の上などでじっとしており、夜になると昆虫を捕らえて活動します。吸盤のついた指先を使って、ガラスや枝などの滑りやすい場所も器用に移動できます。
幼体の頃は緑色をしていますが、成長にともなって青白い体色へと変化するのが特徴です。湿度や温度によっても体色が変化することがあり、周囲に溶け込む保護色の役割を果たしています。
ミルキーフロッグの基本情報
ミルキーフロッグは、オスの体長は約6〜7cm、メスは9〜10cmとやや大きめです。寿命は5〜8年ほどで、適切な環境を整えればさらに長生きすることもあります。
一般的には「ミルキーフロッグ」の愛称で知られていますが、正式名称(和名)は「ジュウジメドクアマガエル」。ミルキーフロッグという名前は、英名の「Amazon Milk Frog」に由来し、体色が乳白色を帯びていることから名付けられています。
体色はミルクを混ぜたような青みがかった灰色で、背中に濃いグレーの模様が入る個体もいます。夜になると体色が茶褐色に変化することもあり、環境に応じて色が変わる保護色として働いています。
夜行性で、湿度が高い日や繁殖期に鳴くことが多く「ウォー、ウォー」という低く響く鳴き声を発するのが特徴です。主に夜間に活動し、昆虫などの小さな生き物を捕まえて食べます。
ミルキーフロッグの鳴き声は比較的おだやかで控えめですが、夜間に鳴くため、寝室にケージを置く場合は注意が必要です。個体差はありますが、音に敏感な方は設置場所をリビングや廊下にするなど工夫しましょう。
ミルキーフロッグには毒がある?安全に飼えるの?

ミルキーフロッグの皮ふからは、乳白色の刺激性粘液が分泌されます。この粘液には毒が含まれており、皮膚がかぶれたり、目や口に入ると炎症を起こすことも。
この毒は、野生では外敵から身を守る防御手段で、昆虫などから取り込んだ成分を体内に蓄積していると考えられています。
安全に飼育するために
基本的な注意を守れば、ミルキーフロッグは家庭でも安全に飼育できる魅力的なペットです。
- ミルキーフロッグを触ったあとは、石けんでしっかり手を洗う
- ケージ掃除などの際は、ゴム手袋を着用
- 触ったあとの手で、目や口などの粘膜に触れない
- 小さな子どもやペットが直接触れないようにする
万が一、かゆみや腫れなどの症状が出たら、皮膚科や眼科など適切な医療機関を受診してください。
ミルキーフロッグの飼育環境と必要なもの

ミルキーフロッグは、熱帯雨林の高い木の上で暮らす樹上性のカエルです。
飼育下でも自然に近い環境を再現することで、健康的に育てることが可能です。以下に、必要な設備や環境づくりのポイントを紹介します。
ケージの選び方
ミルキーフロッグは登る習性があるため、横幅よりも高さのあるケージが適しています。最低でも高さ45cm以上、幅と奥行きは30cm程度を目安にしましょう。
ケージの素材は、保温性と保湿性に優れたガラス製またはアクリル製がおすすめです。通気性があり、湿度も保持しやすい構造を選びましょう。
床材の種類と管理
床材は湿度を保ちつつ、清潔に保ちやすいものを選びましょう。代表的なものは以下の通りです。
- ヤシガラ土:通気性・排水性・保水性のバランスが良い
- 水苔:高い保湿力があり、自然な見た目
- ピートモス:酸性寄りでカビの発生を抑える効果がある
床材は常に湿らせておく必要がありますが、水が溜まるほど濡れている状態は避けてください。
シェルターと登り木の設置
ミルキーフロッグは臆病な性格のため、落ち着いて過ごせる隠れ家となるスペースが必要です。ケージ内には、流木や素焼きの鉢、コルクバーグなどを使って、安心できる隠れ場所をつくってあげましょう。
コルクバーグとは、木の「コルク樫」の樹皮を加工した素材で、自然な見た目と通気性のよさが特徴です。軽くて扱いやすく、カビに強いため、爬虫類や両生類の飼育によく使われています。設置するだけで自然な雰囲気を演出でき、ケージのレイアウトにもぴったりです。
また、樹上性のミルキーフロッグが登って過ごせるように、太めの流木や観葉植物を配置して、立体的な空間を確保してあげましょう。
照明と紫外線ライト
ミルキーフロッグは夜行性で、昼間に強い紫外線を必要とするタイプのカエルではありません。そのため、紫外線ライトは必須ではないという意見も多く、実際に紫外線なしで健康に育てている飼育例もあります。
ただし、紫外線は体内でカルシウムを吸収するのに必要なビタミンD3の生成を助ける役割があるため、設置できる場合は弱めのUVBライトを使用するのもおすすめです。特に、餌にビタミンD3を添加していない場合や、長期間の飼育を想定している場合には有効です。
また、昼夜のリズムをつくるために、白色LEDライトなどで照明をつけるのもよいでしょう。飼育スタイルや設備に合わせて無理のない範囲でライトの導入を検討してください。
ミルキーフロッグを飼うためのポイントと注意点

ミルキーフロッグは比較的丈夫で飼育しやすいカエルですが、健康に育てるためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
初心者でも安心して飼えるよう、日々の管理のコツをまとめました。
飼育環境と日常管理のポイント
ミルキーフロッグは高温多湿の環境を好むため、ケージ内は温度24〜28℃・湿度70〜80%を保つようにしてください。温湿度計でこまめに確認し、霧吹きやパネルヒーターで調整しましょう。
餌はコオロギやミルワームなどの昆虫を週に2〜3回与えます。カエルの頭の大きさに合ったサイズを選び、カルシウムやビタミンD3をまぶして栄養補助を行いましょう。ピンセットを使うと、餌の量を管理しやすく衛生面でも安心です。
ケージの掃除は毎日行い、食べ残しや排泄物をこまめに取り除きます。床材の汚れが目立ってきたら交換し、月に1回程度はケージ全体を洗浄しましょう。水入れも2〜3日に一度は水を交換し、定期的に洗って清潔を保ってください。
変温動物のため、急激な温度変化や乾燥には注意しましょう。
ハンドリングと健康チェック
ミルキーフロッグの皮ふは繊細で、手の汚れや保湿剤、洗剤などにも反応しやすいため、基本的に素手での接触は避けてください。どうしても触れる必要がある場合は、手を洗ってから短時間で優しく扱いましょう。
また、日々の観察が健康管理には欠かせません。食欲や活動量、皮ふの色、排泄の状態などをチェックし、いつもと違う様子があれば早めに動物病院に相談してください。以下のような症状は特に注意が必要です。
- 食欲がない、動かない
- 皮膚に腫れや変色が見られる
- 呼吸が荒い、苦しそうに見える
- 下痢が続く
飼う前にカエルをみてくれる動物病院があるか調べておくと、もしものときに安心です。
まとめ|毒性に配慮すれば、ミルキーフロッグは魅力的なペットに

ミルキーフロッグは、ミルクのような淡い体色とつぶらな瞳が特徴的なカエルです。毒性を持つ分泌液を出すため注意は必要ですが、正しい知識と対策があれば、初心者でも十分に飼育できます。
本記事では、ミルキーフロッグの生態や毒性の仕組み、必要な飼育環境、日常管理のポイントまでを幅広く紹介しました。
毒への配慮としては「素手で触らない」「触れたあとは手洗いを徹底する」などの基本的なルールを守ることが、カエルにも飼い主にとっても安全な飼育につながります。
はじめて両生類を飼う方にも、毒性さえ気をつけられる環境であれば、おすすめできるカエルです。比較的静かで美しく、観賞性の高いミルキーフロッグは、適切な環境を整えれば、長く付き合える魅力的なペットだといえます。
毒性とうまく付き合いながら、愛嬌のあるミルキーフロッグとの生活をぜひ楽しんでみてください。