身近な日本のカエルを飼育しよう!育て方のコツと正しい捕まえ方

カエルは、日本の自然の中で身近に見られる小さな生き物。ぴょんぴょん跳ねる姿や、ユニークな鳴き声に子どもが興味を持つことも多いですよね。

また、犬や猫が飼えない賃貸に住んでいる方にも、飼育スペースを取らないペットとして注目されています。家族での自然観察にも、一人暮らしの癒しのパートナーにもぴったりなカエル。

この記事では、そんな日本のカエルを「安全に捕まえて、正しく飼う方法」をやさしく解説します。自然に触れながら、カエルとの豊かな暮らしをスタートさせたい方は、ぜひ最後までお読みください。

日本でよく見かけるカエルの種類|初心者にも飼いやすい代表種を紹介

カエルといっても、日本にはさまざまな種類が生息しています。種類によって大きさや色、生息する場所も異なり、飼育のしやすさにも差があります。

ここでは、特に身近で見つけやすく、初心者にも飼いやすい日本のカエル4種を紹介します。

ニホンアマガエル|変幻自在の小さな人気者

  • 体長: 2〜4cmほど
  • 特徴: 緑色・茶色など体色が変わる/指先に吸盤あり
  • 主な生息地: 田んぼ、畑、庭、公園の草むら

梅雨時期に「ゲコゲコ」と鳴く姿でおなじみのカエル。体の色を周囲に合わせて変えることができ、観察していて飽きない魅力があります。小型で丈夫なため、初めてカエルを飼う方にもおすすめです。

トノサマガエル|堂々とした水辺の王様

  • 体長: 5〜9cmほど(やや大型)
  • 特徴: 背中に太めのスジ/緑〜茶の模様が美しい
  • 主な生息地: 池、沼、田んぼ、水辺の草むら

「殿様」の名にふさわしい堂々とした姿が魅力のカエル。ジャンプ力が高く、よく泳ぎます。やや大きめなので、広めの飼育スペースとしっかりしたフタが必要です。

ツチガエル|目立たないけど愛嬌たっぷり

  • 体長: 3〜5cmほど
  • 特徴: 平たい体・イボのある背中/茶色〜灰色で地面にまぎれる
  • 主な生息地: 田んぼ、水たまり、湿った草地

見た目は地味ですが、素朴なかわいさがあり、観察好きにはたまらないカエルです。「イボガエル」とも呼ばれますが、毒はありません。動きはゆっくりめで、落ち着いた環境を好みます。

シュレーゲルアオガエル|鳴き声がウグイスそっくり?

  • 体長: 3〜5cmほど
  • 特徴: 鮮やかな緑色/大きな目/木登りが得意
  • 主な生息地: 森林周辺、水田、湿地

葉っぱの上や木の枝など、高い場所にもよく現れる種類です。繁殖期には泡のような卵を木の上に産みつける独特の習性も。夜に聞こえる「ホー、ホケキョ」に似た鳴き声で存在を知る人もいます。

どのカエルも、見つけた場所と種類をしっかりメモしておきましょう。

カエルの探し方と捕まえ方|安全に・やさしく・自然に配慮しよう

カエルは身近な生き物ですが、探すタイミングや場所、捕まえ方を間違えると、ケガをさせてしまったり、生態系に悪影響を与えてしまうこともあります。

ここでは、初心者でも安心してできるカエルの探し方と、安全に捕まえる方法を紹介します。

カエルを探すのに適した時期と時間帯

  • 季節: 春〜夏(特に梅雨時期は活発)
  • 天気: 雨の日や雨上がりがおすすめ
  • 時間帯: 夕方〜夜(多くのカエルは夜行性)

夜間は懐中電灯を使うと、目が光って見つけやすいことも!

カエルを見つけやすい場所

場所見つけやすい種類
田んぼ・水田ニホンアマガエル、トノサマガエル、ツチガエルなど
池・小川の岸辺トノサマガエル、シュレーゲルアオガエルなど
湿った草むら・公園の水たまりニホンアマガエル、ツチガエル
森林の周辺や山間部シュレーゲルアオガエルなど

見落としがちなポイントとして、草の裏や石のかげ、雨どいの周辺などにもカエルが潜んでいることがあります。

捕獲に必要な道具

道具用途とポイント
捕虫網カエルをすくい上げるため。目が細かく柔らかいものを選ぶ。
手袋(軍手やゴム手袋)カエルの皮膚を守り、人の手の油分をつけないためにも有効。
フタ付きの容器通気性があり、逃げ出さないもの。底に湿らせた紙や草を敷くと安心。
懐中電灯夜間の探索に便利。手元や足元の安全確保にも。

カエルを傷つけない捕まえ方のコツ

カエルは非常にデリケートな生き物です。捕まえるときには、ストレスやケガを与えないよう、細心の注意が必要です。

まず大切なのは、驚かせないこと。カエルは音や急な動きに敏感なので、近づくときは静かに、ゆっくりとした動作を心がけましょう。

手で触れる場合は、必ず手袋を着用し、両手で包み込むようにやさしく持ちます。カエルの足や体を強く握ったり、片手でつまむように持ち上げたりすると、骨折や内臓損傷の原因になることがあります。

カエルの足はとても細くて骨折しやすいです。足だけをつかんで持ち上げないようにしましょう。

捕まえるときのマナーと注意点

カエルを捕まえるときは、自然環境や周囲への配慮を忘れないようにしましょう。まず、必要以上に多くのカエルを捕獲するのはNGです。飼育する予定の匹数だけにとどめ、1〜2匹が適正な目安です。

また、農薬が散布されている可能性のある田んぼや、車通りの多い道路沿いなど、カエルや人にとって危険な場所では捕まえないようにしましょう。

私有地で採集する場合は、必ず土地の持ち主に許可を得ることが大切です。無断での立ち入りや捕獲はトラブルの原因になるため、必ず確認しましょう。

カエルの飼育環境|自然に近い“ミニ湿地”をつくろう

カエルは見た目が丈夫そうに見えても、繊細な生き物。特に湿度や水まわりの環境が崩れると、すぐに体調を崩してしまいます。

この章では、初心者でも安心してカエルを飼い始められるように、必要な飼育用品と快適なレイアウトづくりのコツを紹介します。

飼育に必要な基本アイテム

アイテム内容と選び方のポイント
ケージ
(水槽・プラケース)
カエルのサイズに合った広さが必要。
小型種(ニホンアマガエル)→30cm程度/中型種(トノサマガエル)→45cm以上が目安。
床材水苔・ヤシガラ土・ソイルなど、湿度を保てる素材がおすすめ。潜ったり隠れたりできる深さに敷く。
水入れ全身が入れる浅皿タイプ。毎日交換しやすい形がベスト。
ひっくり返らないよう安定性もチェック。
隠れ家素焼き鉢のかけらや流木、市販のシェルターなど。
安心できる場所があると、カエルは落ち着きます。
フタ通気性があり、脱走を防げるもの。
金網タイプや専用フタがおすすめ。
霧吹き湿度維持に必須。1日1〜2回の霧吹きが基本。
温度・湿度計ケージ内の環境を見える化して、適切な管理に役立ちます。
保温器具(冬用)室温が下がりすぎるとき用。パネルヒーターなどで調整。

はじめての飼育では「通気性・湿度・脱走防止」の3点を意識しましょう。

温度と湿度の目安

  • 温度: 20〜28℃前後が目安(種類によって差あり)
  • 湿度: 60〜80%をキープ(床材の湿り気+霧吹きで調整)

夏の暑さや冬の寒さが厳しい日は、エアコンやヒーターで調整しましょう。温度に差があるエリアをつくると、カエル自身が移動して快適な場所を選べます。

水の管理は命に直結!

カエルは皮膚から水を吸収したり、排泄したりします。
そのため、水入れの水は毎日交換するのが基本。カルキ(塩素)が入った水道水は、必ずカルキ抜きして使いましょう。

市販の「爬虫類・両生類用の水」や「カルキ抜き剤」も便利です。

カエルが健康に長生きするエサと与え方

エサの種類と与え方

カエルが食べるのは、生きた昆虫です。カエルは基本的に肉食性で、動いている虫を好んで食べます。

以下のような餌がよく使われます。

エサの種類特徴向いているカエル
コオロギ
(イエコ・フタホシ)
一般的で入手しやすいほとんどの種類
ミルワーム高脂肪。おやつ用成体〜中型種向き
ワラジムシ・ダンゴムシ小さくて柔らかい小型のアマガエルなど
シルクワーム・ハニーワーム栄養価が高いが高価食欲不振時など

与える頻度と量

  • 幼体: 毎日
  • 成体: 2〜3日に1回
  • 量: 数分で食べきれる量が目安

食べ残しはすぐに取り除きましょう。腐ると病気の原因になります。

カエルの飼育で気をつけたいこと|冬眠への備え

日本のカエルは野生では冬になると冬眠します。飼育下でも冬眠は可能ですが、初心者の場合は無理に冬眠させなくても大丈夫です。

冬眠させる場合の準備

  • 餌を止めて、お腹の中を空にしておく(消化不良予防)
  • 徐々に室温を下げていく(目安:5〜10℃)
  • 床材にしっかりもぐれるようにして、静かで暗い場所に置く
  • 乾燥しないよう、床材は軽く湿らせておく

冬眠させない場合

  • 20〜25℃前後をキープ(パネルヒーターや保温球を使う)
  • 冬でも通常通りのお世話を続ける
  • 夜間は少し温度差をつけて、自然な体内リズムを意識

幼体や体力がない個体は、冬眠させないほうが安全です。

カエルを飼えなくなったときの正しい対応

カエルを飼ううえで、途中で「もう飼えない」となったときの対応を考えておくことはとても大切です。

野外に放すのは絶対にNG

たとえ日本の在来種であっても、一度飼育した個体を自然に戻すことは、病気の拡散や遺伝子のかく乱につながるおそれがあります。他の地域に放すことは生態系を壊す重大なリスクでもあり、地域によっては条例違反になることもあります。

責任ある引き取り先を探す

やむを得ず飼えなくなった場合は、以下のような方法で責任ある引き取り先を探すことが大切です。

  • 信頼できる知人や、両生類の飼育経験がある人に相談する
  • 爬虫類・両生類専門のペットショップや飼育施設に相談する
  • 地域の動物病院や自治体の動物相談窓口に問い合わせる

「最期まで飼えるか?」を事前に考える

カエルの寿命は数年〜10年ほど。迎える前に「自分の生活に合っているか?」「継続して世話できるか?」をしっかり考えることが、カエルにも自分にも優しい選択につながります。

まとめ|カエルと暮らす前に大切なことの再確認

カエルは、小さな体の中にたくさんの魅力を秘めた生き物。身近な田んぼや公園で出会える存在だからこそ、正しい知識を持って、ていねいに付き合うことが大切です。

カエルと暮らすことは、ただの「ペット飼育」ではありません。 季節の変化や自然とのつながり、命の大切さに改めて気づかされる体験でもあります。

どんなきっかけでも、「最後まで大切に育てる」という気持ちを忘れずにいれば、きっとカエルとの暮らしはかけがえのない時間になります。