クレステッドゲッコー(別名:オウカンミカドヤモリ)は、まるで“まつげ”のような突起を持つ愛嬌たっぷりのヤモリ。
その見た目の可愛さだけでなく、扱いやすい性質や豊富なカラーバリエーションも魅力で、初めて爬虫類を飼う人から経験豊富な飼育者まで、幅広く愛されています。
今回は、自然に近い飼育環境づくりのポイントを中心に、クレステッドゲッコーのレイアウト方法や、面白い行動について深掘りしていきます。
飼育に慣れてきた方にも「なるほど」と思っていただけるような小さなコツも紹介していきますよ。

クレステッドゲッコーが快適に暮らせるレイアウトの基本
自然環境を模したレイアウトは、ゲッコーの健康とストレス軽減に直結します。ここでは、基本的な環境づくりのポイントを詳しく見ていきましょう。
1. 高さのあるケージがカギ
クレステッドゲッコーは樹上での生活を好むため、飼育ケージは“高さ”を重視しましょう。目安としては幅30cm×奥行30cm×高さ45cm以上が理想的。
成長後はより広い空間を用意すると、より自然に近い動きが観察できます。メッシュタイプやガラス製など、通気性と観察しやすさのバランスも大切にしたいところです。
ケージ内に温湿度計を設置しておくと、環境の変化にすぐ気づけて便利です。
2. 掃除がしやすい床材を選ぶ
床材は、清潔さを保てるかどうかが選び方のポイント。吸湿性があり、掃除もしやすいテラリウムソイルやバイオジオマット、デザートソイルなどが人気です。
湿度が高めの環境ではダニの発生リスクもあるため、床材は定期的に交換してあげましょう。糞や食べ残しが見つけやすい色合いの床材を選ぶのも掃除のしやすさにつながります。
3. 安心できる隠れ家を必ず用意
とても繊細で警戒心の強いクレステッドゲッコーにとって、安心できる隠れ場所はなくてはならない存在です。
ココナッツシェルやウッド製のシェルター、人工葉などを上手に組み合わせて、高さのある位置やケージの隅に設置すると◎。複数飼育の場合は、それぞれに隠れ家を用意するのがマナーです。
安心できる空間があることで、食欲や活発さも安定してきます。
4. 登り木や植物で“自然な動線”を演出
生きた観葉植物や人工植物、軽い流木や枝を使えば、見た目に癒しを与えるだけでなく、クレステッドゲッコーの「登る」「隠れる」「ジャンプする」といった本能的な行動をサポートできます。
シダやポトスといった丈夫な植物は、湿度管理にもひと役買ってくれます。定期的に霧吹きをして植物を元気に保つことも大切です。
5. 動きの自由を邪魔しない配置に
ついつい飾りすぎてしまいがちなレイアウトですが、ゲッコーにとっては“自由に動ける空間”こそが重要。
ケージ全体に立体的な動線を作ってあげることで、上下左右にアクティブに移動する姿が楽しめます。アイテムの設置は“抜け道”や“隙間”を意識して、詰め込みすぎないようにするのがポイントです。
レイアウトは季節ごとに少し変えてあげると、ゲッコーにとって良い刺激になります。

温度と湿度の管理はクレスの健康の要
自然なレイアウトに加えて、温度と湿度の管理も見逃せません。生息地であるニューカレドニアの気候を再現するような環境が理想です。クレステッドゲッコーが健康に過ごせる数値を把握しましょう。
- 温度: 日中は26〜27℃前後が適温。夏は最大28℃、冬場は22℃前後を目安に、エアコンやヒーターで調整します。急激な温度差は体調不良の原因にもなるので注意が必要です。
- 湿度: 60〜80%の湿度をキープ。霧吹きや加湿器、生きた植物をうまく活用して、乾燥を防ぎましょう。ケージの乾燥しやすい部分(上部や通気孔付近)にも霧吹きが届くよう意識して行います。
- 水入れの設置: 新鮮な水を入れた容器も忘れずに。直接水を飲むだけでなく、湿度維持にもつながります。水はこまめに交換し、常に清潔な状態を保ちましょう。
朝と夜の2回、決まった時間に霧吹きをすると、生活リズムが整いやすくなります。
クレステッドゲッコーの行動パターン
レイアウト次第で、クレステッドゲッコーの魅力的な行動を引き出すことができます。
1. 夜行性で静と動のメリハリがある
日中はおとなしく隠れていることが多いクレステッドゲッコーですが、夜になると一変。ケージ内を活発に移動し、壁や枝を自在に登る姿は見応えがあります。
部屋の照明を落として観察すると、より自然な姿を見せてくれることもあります。
2. 登る・隠れる・ジャンプする
葉の陰やシェルターの中に身を潜めるのが大好き。さらに驚くほどのジャンプ力もあるので、高低差をつけたレイアウトにすることで、より自然な行動を引き出すことができます。
ジャンプの際に落下してもけがをしないよう、床材や下部のクッション性にも気を配りましょう。
3. 脱皮は湿度がカギ
脱皮は定期的に行われる自然な生理現象ですが、湿度が不足していると「脱皮不全」になることも。見た目の美しさや健康を保つためにも、湿度管理とレイアウトの工夫は欠かせません。
脱皮後に残った皮が指先に絡まっている場合は、濡れた綿棒で優しく取ってあげるのも良いでしょう。
4. 産卵前には独特な動きも
メスは産卵期になると、湿った床材の下や隠れ家の奥などに卵を産むことがあります。産卵を見越して、水苔を敷いたスペースを用意しておくと安心です。
卵を見つけたら取り出し、専用の孵化容器で管理するのがおすすめです。
5. 鳴き声に注目してみよう
実は、クレステッドゲッコーは「キュッ」「ククッ」と小さく鳴くことがあります。これは仲間への合図やストレスのサインとも言われており、注意深く観察すると気持ちが少し見えてくるかもしれません。
夜間に鳴き声が増えたら、環境に変化がないかチェックしてみましょう。

レイアウトに使えるちょっとした豆知識
レイアウトを工夫することで、クレステッドゲッコーのストレス軽減や行動の多様性を引き出すことができます。
ただ「見た目がいい」だけではなく、生態に寄り添った配置がポイント。ここでは、飼育経験者でも意外と見落としがちな、レイアウトに使えるちょっとした豆知識を紹介します。
- ライブプランツの導入
生きた植物は湿度を保つだけでなく、見た目の癒しや隠れ場所としても◎。ナチュラルな空間づくりに欠かせません。レイアウトの自然感が増すことで、ゲッコーの落ち着きにもつながります。 - 前開きタイプのケージがおすすめ
上から手を入れると驚かせてしまうため、メンテナンスしやすい前開きのケージが飼いやすさにつながります。メンテナンス中のストレス軽減にもなります。 - 掃除しやすさも重要なポイント
見た目だけで床材を選ばず、糞や食べ残しが処理しやすいものを選ぶことで、日々の掃除がぐっとラクになります。衛生的な環境は、病気の予防にも役立ちます。 - 装飾はシンプルにして落ち着ける空間に
物を詰め込みすぎるよりも、必要最低限のレイアウトの方がゲッコーにとっては安心できることもあります。視界が開けている部分も残しておくと、全体のバランスが取れます。
まとめ
クレステッドゲッコーの魅力を最大限に引き出すためには、レイアウトがとても大切。高さのあるケージに、隠れ家、植物、湿度、そして自由に動ける空間。
これらの要素をうまく組み合わせることで、夜の活動やジャンプ、脱皮といった自然な行動をじっくり観察できるようになります。
初心者でもポイントさえ押さえれば、手軽に自然なレイアウトは再現可能。小さなジャングルをつくって、クレスとの暮らしをもっと楽しんでみてはいかがでしょうか?
レイアウトはゲッコーとの対話。少しの工夫で、その魅力がぐんと深まりますよ。最後までお読みいただきありがとうございました☺