「ニホントカゲが餌を食べない…原因はなに?」
「どう対処すればいいの?」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。多くの飼い主が経験する悩みで、環境や餌の種類、体調などさまざまな理由が考えられます。
本記事では、よくある原因とすぐにできる対処法をやさしく解説。さらに初心者でも安心して準備できるおすすめの餌や与え方の基本も紹介します。
大切なニホントカゲが元気にごはんを食べられるよう、飼育のヒントを見つけてくださいね。
餌を食べないのは普通?ニホントカゲの習性を理解しよう

ニホントカゲが餌を食べないと心配になりますが、実は自然な行動である場合も少なくありません。特に捕まえたばかりの個体は、警戒心から食欲を示さないことが多いのです。
ここでは、飼育を始めた初心者がまず理解しておきたい基本的なポイントを整理します。
捕まえた直後は食べないことが多いワケ
野生のニホントカゲを飼い始めた場合、数日から1週間程度は餌を口にしないことがよくあります。これは環境の変化による強いストレスが原因でしょう。
見慣れないケージや人工的な環境、人の動きや視線、周囲の音や振動などが大きな負担となり、「身を守ること」を優先するため捕食行動を控えてしまいます。この段階では「無理に食べさせよう」とするのは逆効果。
焦らず、静かで落ち着ける環境を用意し、まずは安心して過ごせる時間を与えてください。隠れ家やシェルターを整え、できるだけそっとしておくことが、食欲回復につながりますよ。
野生と飼育でこんなに違う!食べ物の習慣
ニホントカゲは本来、野生ではとても幅広い種類の小さな生き物を食べています。バッタやコオロギといった昆虫だけでなく、クモやミミズ、ダンゴムシ、カタツムリなども捕食対象です。
季節や環境によって獲物が変わるため、自然界では自然と栄養バランスが整いやすい仕組みになっています。一方で、飼育下ではどうしても与える餌の種類が限られがち。
一般的にはコオロギやミルワームなど市販の活餌が中心となりますが、同じものばかりだと栄養が偏ったり、個体によっては「飽きて」食べなくなることも。
そのため飼育下では、複数の種類の餌をローテーションで与えたり、カルシウムパウダーなどで栄養を補ったりする工夫が欠かせません。
ニホントカゲは“動くエサ”しか食べないことも!ピンセットでちょっと揺らすだけで、急に食いつく姿が見られるかもしれませんよ。
餌を食べないのはなぜ?考えられる原因まとめ

ニホントカゲが餌を食べないとき、多くの場合は飼育環境や餌の種類が合っていないことが原因です。
時には体調や季節の変化も影響します。ここでは、初心者が特に見落としがちな代表的な原因を3つに分けて解説しますね。
飼育環境が合っていない!隠れ家や紫外線不足に要注意
変温動物であるニホントカゲは、温度や湿度の影響を強く受けます。
高めの温度に設定する「バスキングスポット」は30〜32℃、低めの温度設定の「クールスポット」は25℃前後を目安にし、温度勾配をつくりましょう。
乾燥しすぎると脱皮不全や脱水、多湿すぎると皮膚病やカビのリスクが高まります。また、隠れ家が少ないと常に外敵に狙われている気分になり、安心して食事ができません。
さらにUVBライト不足もカルシウム代謝に影響し、食欲不振の原因となります。まずは飼育環境を見直してあげましょう。
温度や湿度が合わないと食欲はガクッと落ちます!保温設備と湿度計は必須アイテムです。
餌が大きすぎる?サイズの落とし穴
ニホントカゲは動く獲物に反応して捕食します。そのため、死んだ昆虫や人工飼料には興味を示さないことも。
コオロギやミルワームを中心に、デュビアやワラジムシなど数種類をローテーションで与えると食欲が戻りやすくなりますよ。餌のサイズは「頭の幅の半分〜3分の2」が目安です。
大きすぎると怖がって食べず、小さすぎても餌と認識されません。与える時間帯も大切で、昼行性の習性に合わせて日中の活動時間に与えると反応が良いでしょう。
冬眠や脱皮が原因で食欲が落ちることも
秋から冬にかけては冬眠の準備で活動が鈍り、自然と食欲が落ちます。冬眠明けもすぐには食欲が戻らないことがあります。
また、脱皮前後は不快感から餌を食べないのも普通です。ただし、痩せてきたり、動きが鈍くなったりする場合は病気や寄生虫の可能性もあります。特に、下痢や便秘などが見られるときは注意が必要です。
「季節的なものか体調不良か」を見極めるには、観察を続けてそのほか、不調のサインが出ていないか確認しましょう。
脱皮前は食欲が落ちても大丈夫!皮ふがむける準備で体が気持ち悪いだけなのです。脱皮後にモリモリ食べることもあります。
飼育初心者でも安心!食欲アップのコツ

「餌を食べない=すぐに危険」とは限りません。まずは環境や餌の与え方を少し工夫することで、改善するケースも多くあります。
ここでは初心者の方でも今日から実践できる、安心の対処法を紹介します。
まずは環境を整えて安心させよう
最も重要なのは、まず環境を見直すこと。ケージ内の適正温度を保ち、湿度は50〜70%を意識しましょう。湿度は、霧吹きや大きめの水入れで調整できます。
さらに、ケージの両側に隠れ家を用意すると安心感が増し、ストレスが減ります。照明はUVBライトを設置し、日光浴できる環境をつくることも大切。環境を整えるだけで、数日後には食欲が戻るケースも珍しくありません。
餌の種類や与え方を工夫しよう
同じ餌ばかりだと食べ飽きることがあります。コオロギやミルワームに加え、デュビア、ワラジムシ、レッドローチなども試してみましょう。
餌のサイズは頭幅の半分〜3分の2を目安に与えてください。与え方も工夫し、ピンセットで目の前で動かして捕食本能を刺激したり、ケージ内に活餌を放して自分で狩らせたりすると反応が良くなります。
ピンセットで餌を揺らすと「動くもの=獲物」と認識しやすく、食欲スイッチが入ることもあります。
焦らず様子を見守ることも大切
捕まえた直後や脱皮前などは、どんな工夫をしても食べないことがあります。その場合は焦らず、数日〜1週間は静かに様子を見守りましょう。
頻繁にケージを覗いたり、触ったりすると余計に生体にストレスを与えてしまいます。活動量や排泄の有無、痩せていないかを観察し、健康が維持されていれば大きな問題ではありません。
飼い主が「食べさせなきゃ」と焦らないことが、結果的にニホントカゲを安心させ、自然な食欲回復につながります。
ニホントカゲに合うおすすめの餌と与え方の基本

「餌を食べない」と悩む前に、まずはニホントカゲが好む餌の種類や、与え方の基本を知っておくことが大切です。
市販で入手できるおすすめの餌や、活餌と人工飼料の違い、与えるときのルールをまとめました。
まずはここから!初心者におすすめの餌リスト
ニホントカゲに与えやすい代表的な餌をまとめました。主食からおやつ向きまで特徴を比較して、ローテーションして与えるのがおすすめです。
餌の種類 | 特徴 | 注意点 |
コオロギ | 定番の主食。動きが活発で捕食本能を刺激しやすい | 飼育の手間や鳴き声・臭いが気になることも |
ミルワーム | 保存が簡単で与えやすい。初心者に扱いやすい | 脂肪が多く、主食にすると栄養が偏る |
デュビア | 栄養価が高く、繁殖させて増やせる | 温度管理が必要で、動きが遅く食いつきが弱い場合も |
ワラジムシ/ダンゴムシ | 採集可能で手軽に入手できる。栄養補助や変化づけに便利 | 採集場所によっては農薬や寄生虫のリスクあり |
コオロギを中心に、デュビアやワラジムシを組み合わせると栄養バランスが整いやすくなります。複数の餌をローテーションすることが、食欲維持と健康につながりますよ。
ミルワームは便利ですが、実はおやつ枠。与え過ぎると太りやすいので、主食はコオロギなどバランスの良い餌にしましょう!
これだけは守りたい!餌やりの基本
餌を与える頻度は、幼体と成体で異なります。幼体は毎日1回、成体は2〜3日に1回で十分です。また、与えすぎは肥満や消化不良の原因になるため注意しましょう。
食べ残しはカビやダニの温床になるので必ず回収してくださいね。さらに、餌にカルシウムパウダーをまぶす「ダスティング」を行うと栄養バランスが整いやすくなります。
正しい与え方を心がけることで、食欲不振の予防にもつながります。
その拒食、本当に大丈夫?病気を疑うタイミング

環境を整えても1週間以上食べない場合は、体調不良や病気が隠れている可能性があります。特に幼体の場合は、体力が少なく危険です。
ここでは注意すべきサインと、病院へ相談するタイミングを解説しますね!
痩せてきたら要注意!見逃せないサイン
「餌を食べない」以外にも、体調不良を示すサインは多くあります。代表的なのは体重減少、活動量の低下、皮ふや目の異常です。
たとえば、痩せて尻尾が細くなる、目がくぼんで開かない、皮膚が乾燥してシワが目立つなどが見られます。また、下痢や便秘が続くなどの症状も要注意。
これらは寄生虫や疾患に関係している場合があります。普段から観察を続け、小さな変化にも気づけるようにしておくことを心がけましょう。
動物病院に相談する目安は?
幼体が3日以上、成体が1週間以上餌を口にしない場合は、専門医への相談を検討しましょう。特に「痩せてきた」「ぐったりしている」といった症状がある場合は、早めの受診が必要です。
動物病院では寄生虫検査や脱水のチェック、栄養補助などを行ってもらえます。受診の際は、飼育環境の温度や湿度、与えている餌の種類や頻度を記録して持参すると診察がスムーズです。
エキゾチックアニマルには対応していない動物病院もあるため、事前に対応可能か調べておくと安心です。
痩せてきたりぐったりしているときは危険サイン。1週間以上食べない場合は動物病院に相談を!
原因を知れば安心!ニホントカゲを元気に育てよう

ニホントカゲが餌を食べないとき、多くは捕獲直後のストレスや飼育環境の不備、餌の種類や与え方が原因です。
温度・湿度の調整や隠れ家の設置、活餌の工夫など、すぐにできる改善策を試すことで解決することがほとんどです。
ただし、1週間以上食べない、痩せてきた、ぐったりしているといった場合は病気の可能性があるため、迷わず専門医に相談しましょう。焦らず、日々の観察を続けることが何より大切です。
正しい知識と環境を整えることで、ニホントカゲは元気に育ち、長く一緒に暮らすことができます。