人懐っこい性格と迫力ある見た目で注目されるテグーですが、飼育には広いケージや温度管理など、しっかりした環境が必要です。
この記事を読めば、テグーの魅力や飼育に必要な知識、注意点が分かり、飼育できるかどうかの判断材料になります。
成長すると1メートルを超えることもあるので、飼育前の準備が重要です。しっかりとした知識を身につけて、テグーとの素敵な生活をスタートさせましょう。
テグーってどんなトカゲ?

テグーは南米原産の大型トカゲで、最大で全長1メートルを超えることもある迫力満点の爬虫類です。昼行性で陸上を中心に生活します。
ペットとして人気があるのは、以下のような種類です。
- アルゼンチンブラックアンドホワイトテグー:白黒の美しいバンド模様。比較的温厚で飼いやすく、初心者にも人気。
- レッドテグー:赤みがかった体色が特徴。成長すると特に大きくなりやすい。
- コロンビアゴールデンテグー:黒っぽい体色に白や黄色の斑点。やや臆病で警戒心が強め。
野生では森林や草原、川辺など多様な環境に暮らし、地面に穴を掘って隠れ家を作ることもあります。また、水辺で過ごすのも得意で、泳ぎも上手なトカゲです。
食性は雑食で、昆虫、小動物、果物、野菜などさまざまなものを食べます。飼育下でもその習性は変わらず、栄養バランスを意識した食事が必要です。
大型のトカゲ、テグーの魅力とは?
テグーが注目を集めている最大の理由は、その人懐っこさと存在感のある見た目です。爬虫類ながら、まるで犬のように飼い主の指示に従う個体がいることで、多くの愛好家に支持されています。
人になつくって本当?
テグーは爬虫類の中でも知能が高く、飼い主を識別したり、名前を呼ばれると寄ってくる個体もいます。毎日接することで、人に慣れたり、ハンドリング(だっこ)を嫌がらなくなる個体も多く、なかには飼い主の後をついて歩く姿も。
ただし、すべてのテグーが人に慣れるとは限らず、臆病な個体や環境に慣れるまでに時間がかかる場合もあるため、焦らず丁寧に付き合うことが大切です。
テグーは“慣れる”爬虫類ですが、犬のように“なつく”わけではありません。
美しく迫力ある見た目
見た目のかっこよさも、テグーの大きな魅力です。種類によって体色や模様が異なり、それぞれに個性があります。
オスは大きくがっしりとした体格になり、成長すると1メートルを超えるサイズに達するため、飼育しているだけで圧倒的な存在感があります。
また、成長とともに体色が少しずつ変化する個体もおり、長く飼うことで見た目が変化するのも魅力のひとつでしょう。
初心者や子どもがいる家庭に向いているペット?

テグーは人に慣れることで知られる魅力的な爬虫類ですが、誰にでも飼育が向いているわけではありません。
ここでは、小さなお子さんがいる家庭や一人暮らしの方にとっての注意点と、飼育に向いている人・向いていない人の傾向を紹介します。
小さな子どもがいる家庭は注意
テグーは基本的に温厚ですが、驚いた拍子に噛みつくことがあるため、小さなお子さんが不用意に触るのは危険です。
また、サルモネラ菌を保有している可能性もあるため、衛生管理は必須でしょう。お子さんが触れたあとは、必ず手洗いを徹底してください。
お子さんがいる家庭で飼育する場合は、大人が責任を持って管理する必要があります。
一人暮らしでも飼える?
十分な飼育スペースがあり、日々のケアに時間と手間をかけられるなら、一人暮らしでも飼育は可能です。
ただし、旅行や出張が多い人には不向きだといえます。毎日の温度・湿度管理、餌やり、掃除が欠かせません。
ケージの場所や電気代、動物病院の対応なども一人で担う必要があります。
向いている人/向いていない人
テグーの飼育に向いている人
- 爬虫類飼育の経験がある(特に中〜大型種)
- 環境を整え、毎日世話する時間と労力をかけられる
- 成長後の大きさや費用を理解し、長く付き合う覚悟がある
- 家族の同意がある/単身でも管理が徹底できる
テグーの飼育に向いていない人
- 爬虫類飼育が初めてで知識が浅い
- スペースや予算に制限がある
- なつくことを過剰に期待している
- 小さな子どもだけで世話をさせようとしている
最後まで責任を持ってお世話ができるか不安な場合は、テグーの飼育を見送ることも必要です。
飼育前に知っておきたい注意点

テグーは魅力的なペットですが、その大きさや性格から、飼育にはしっかりとした準備と覚悟が必要です。飼い始める前に、以下のような点を確認しておきましょう。
成長後のサイズと力の強さ
テグーは幼体のうちは手のひらサイズでも、成長すると1メートル以上、体重は8kgほどになることも。
力も強く、暴れるとケージや備品を壊してしまう可能性があります。ケージは頑丈で壊れにくいものを選びましょう。
掃除やハンドリング時の安全性の確保も重要です。
慣れには個体差がある
テグーは比較的人に慣れやすい爬虫類ですが、すべての個体が慣れるわけではありません。毎日のふれあいが効果的ですが、急がず個体のペースに合わせることが重要です。
臆病な性格の個体は、無理な接触でストレスを感じることもあります。
冬眠することがある
テグーは、気温や日照時間の変化によって、冬眠のような状態になることがあります。飼育下でも室温や照明の設定によっては冬眠に入ることも。
冬眠中は体調管理が難しくなるため、基本的には冬眠させない環境が望ましいといえます。
冬眠に入った場合は、無理に起こさず、温度管理を保ちつつかかりつけの獣医師に相談しましょう。
テグーの飼育に必要な環境

テグーは体が大きくなり、温度や湿度の管理が欠かせないため、飼育設備の充実が健康維持のカギになります。必要なポイントを順に見ていきましょう。
飼育ケージのサイズと設置場所
テグーは成長すると全長1メートルを超えるため、最初から成体サイズを見越したケージを準備するのがおすすめです。
- 最低サイズ:幅120×奥行60×高さ60cm
- 理想サイズ:180cmクラスの特大ケージ
- 設置場所:直射日光が当たらず、温度が安定している静かな部屋
ケージが狭いと運動不足やストレスの原因になります。また、力が強いため、頑丈で脱走しにくいケージを選びましょう。
温度・湿度・紫外線管理
テグーは変温動物のため、温度勾配のある環境づくりが必要です。
エリア温度の目安
- ホットスポット:35-40℃
- クールスポット:24-28℃
- ケージ全体:28℃前後
紫外線ライト(UVB)は、ビタミンD3の合成とカルシウム代謝に必要です。爬虫類専用のライトを使い、6か月ごとに交換しましょう。
脱皮不全を防止するため、湿度は60〜70%を保つ必要があります。加湿器や霧吹きで、ケージ内の湿度を調整してあげましょう。
床材・シェルター・水容器
床材はヤシガラ土やバークチップなど、保湿性があり誤飲しても安全なものを選びましょう。
バークチップは木の皮を細かく砕いたもので、湿度を保ちやすく、見た目も自然に近いのが特徴です。新聞紙やキッチンペーパーでも代用できますが、保湿力が弱いためこまめな霧吹きを心がけてください。
シェルターは、テグーが落ち着ける隠れ場所として必須です。体がしっかりと収まる大きさで、植木鉢や市販の爬虫類用シェルターなどを使うとよいでしょう。
水容器は、飲水と水浴びの両方に使える大きめサイズが理想です。倒れにくく、掃除がしやすいものを選び、毎日清潔な水を用意してあげてください。
テグーの食事と栄養管理

テグーは雑食性で、昆虫から果物まで幅広く食べるため、栄養バランスを意識した食事管理が欠かせません。成長段階によって必要な量や内容も変わります。
主な餌と与え方
テグーの食事には、以下のようなものを組み合わせて与えます。
ドッグフード・キャットフード
高タンパクな総合栄養食として、特に成体の主食としてよく使われます。カルシウムとリンのバランスに注意し、できるだけ添加物の少ない高品質なものを選びましょう(例:ロイヤルカナン、アカナなど)。
昆虫・小動物
コオロギやミルワーム、ピンクマウスなどは動物性タンパク質の供給源になります。与えすぎると脂肪過多になるので、週2〜3回を目安に。
肉類(鶏肉・馬肉など)
脂肪分の少ない部位を少量ずつ。鮮度管理に注意が必要です。
野菜・果物
小松菜、チンゲン菜、カボチャ、リンゴ、バナナなどを適量与えます。果物は糖分が多いため控えめに。
サプリメント
カルシウムとビタミンD3の補給はとても重要です。紫外線ライトと併用しながら、粉末タイプを餌にふりかけて与えましょう。
ドッグフードを与える際は、リンの取りすぎに注意してください。リンが多すぎるとカルシウムの吸収を妨げ、クル病を引き起こす可能性があります。
成長段階に合わせた給餌のポイント
テグーは年齢によって必要な栄養や給餌頻度が変わります。
ベビー期(〜1歳)は、成長が早いため、1日2〜3回に分けて高栄養な餌を与えます。昆虫・ドッグフード・野菜をローテーションし、サプリも必ず加えてください。
ヤング期(1〜3歳)は、成長スピードが落ち着き、1日1〜2回の給餌にしましょう。栄養バランスを意識して、肉・昆虫・野菜・果物をまんべんなく与えます。
アダルト期(3歳以降)は、肥満に注意が必要な時期です。1日1回、または2日に1回に減らし、主食中心+副食は控えめに。体重管理を意識しましょう。
まとめ|テグーはしっかり飼えば最高の相棒になる爬虫類

テグーは、大型で力強く、爬虫類のなかでも人に慣れやすいユニークな存在です。その反面、広いケージや繊細な温度管理、日々の世話の責任も必要で、気軽に飼えるペットではありません。
しっかりと準備を整え、個体に合わせて丁寧に向き合えば、テグーは唯一無二の“慣れる爬虫類”として、深い信頼関係を築けるパートナーになります。
“飼いたい”という気持ちだけでなく「最後まで責任を持てるか」をしっかりと見極めたうえで、テグーとの暮らしをスタートさせましょう。
環境を整えて大切に育てれば、テグーは“最高の相棒”になってくれます。