カメの寿命を種類別に解説!長生きさせるための基本知識

「カメは長生きする動物」とよく耳にしますが、その寿命は種類や飼育環境によって大きく変わります。

水辺で見かけるミズガメ(水棲カメ)や、陸上で暮らすリクガメなど、種類ごとに特徴や寿命の長さはさまざま。なかには30年以上生きる種類や、世代を超えて100年近く生きた記録があるカメも。

本記事では、ミズガメとリクガメの両方を対象に、それぞれの寿命の目安と長生きさせるコツ、飼う前に知っておきたい注意点をまとめました。

カメとの暮らしを思い描きながら読み進めることで、自分に合った飼育スタイルが見えてくるはずです。

カメの寿命はどのくらい?基本を知ろう

カメは「長生きする動物」とよく言われますが、実際の寿命は環境によって大きく変わります。

野生では危険が多く短命なこともありますが、飼育下では数十年も一緒に暮らせるパートナーになることも。まずはカメの寿命の基本を整理してみましょう。

野生と飼育下で寿命はどう違う?

自然の中で暮らすカメは、エサが足りなかったり、敵に狙われたり、交通事故にあったりと、たくさんのリスクがあります。特に子ガメは外敵に狙われやすく、大人まで成長できるのはほんの一握り。平均すると20年も生きられないこともあります。

一方、家庭で飼われているカメは、しっかりエサをもらえて、温度や水質も安定。体調を崩しても動物病院に連れて行けるので、安心して長生きしやすいのです。種類や飼い方によっては非常に長生きするカメもいます。

カメが長寿といわれるワケ

カメは体温を外の環境に合わせる変温動物です。代謝がゆっくりなので、細胞の老化もゆっくり進みます。動きがのんびりしているのも、長生きの理由のひとつです。

さらに、カメといえば甲羅が特徴的ですよね。外敵からしっかり身を守れるので、生き残る力がとても強いんです。成長スピードがゆっくりで、繁殖できる期間も長いため、「長生きすること」そのものがカメの大きな特徴といえます。

だから昔からカメは「長寿の象徴」として語られてきたんですね!

馴染みの深いミズガメ!寿命と特徴

日本でよく飼われているカメといえば、水の中で暮らす「ミズガメ(水棲カメ)」。ミドリガメやクサガメは子ども時代に見かけることも多く、身近な存在です。

種類ごとに寿命の長さや飼いやすさが違うので、代表的な3種類をチェックしてみましょう。

ミドリガメ

子どもの頃の鮮やかな緑色から「ミドリガメ」と呼ばれていますが、正式には「ミシシッピアカミミガメ」といいます。成長すると甲羅の色は暗くなり、目の後ろの赤い模様が目立ちます。とても丈夫で飼いやすく、寿命は20〜30年と長めです。

条件付特定外来生物のミドリガメは、ペットとして飼育や捕獲は可能ですが、新規で生体を購入することはできません。野外への放出や販売・頒布などについては、法律で禁止されています。

寿命の長さから飼育放棄の問題も多い種類。飼うときは「一生のパートナー」と考える覚悟が必要です。

クサガメ

クサガメは昔から日本にいるおなじみのカメです。刺激を受けると独特のにおいを出すことから「匂いガメ」とも呼ばれます。性格はおとなしく、人に慣れる個体も多いため、初めてのカメ飼育に選ばれることも。

寿命は20〜40年ほどで、環境が整っていればもっと長く生きることもあります。元気に長生きしてもらうには、清潔な水質や適温の維持、日光浴など毎日のお世話が欠かせません。

イシガメ

イシガメは日本固有のカメで、かつては川や田んぼでも見られた身近な存在でした。現在は数が減ってきており、環境省レッドリストでは「準絶滅危惧」に指定されています。幼体は「ゼニガメ」とも呼ばれ、甲羅の後ろ端がギザギザとのこぎり状になっているのが特徴。

寿命はミズガメのなかでも長く、野生では20〜30年。飼育下で環境が整えば40年以上生きることも。日本の気候に適応している種類ですが、水質管理やエサのバランスには注意が必要です。

孵化したばかりの個体は2〜3cm。黄色っぽく小判に見えるため、ゼニガメと呼ばれるようになったそうですよ。

リクガメは超長生き!種類別の寿命と特徴

リクガメはミズガメよりもさらに長生きする種類が多く、一部のリクガメは100年近く生きる大ベテランもいるようです。長寿であるぶん、広い飼育スペースや温度・湿度管理などの手間も増えます。

種類によって「温度」「湿度」「スペース」などのポイントが大きく異なるため、飼育を始める前に必ず確認しておくことが大切です。

ギリシャリクガメ

ギリシャリクガメは小型で飼いやすいことから、ペットとして人気の高い種類です。寿命は平均20〜50年ほど。適切な環境であればさらに長く生きることもあります。丸くて盛り上がった甲羅が特徴です。

ただし湿度に敏感で、日本の冬に乾燥しすぎると体調を崩しやすいのが難点。保湿性のある床材や霧吹きなど、湿度を意識した環境づくりが必要です。

ギリシャリクガメの「ギリシャ」は地名ではなく、背甲の模様が「ギリシャ織」に似ていることから名づけられたそうですよ!

ケヅメリクガメ

ケヅメリクガメは世界で3番目に大きなリクガメ。寿命は30〜50年と非常に長寿。大きな個体になると甲羅が80cmを超え、体重も50kg以上になるため、終生飼育には相当な覚悟が必要です。

広大なスペースと冬場の保温設備、さらに大量のエサ代など、飼育コストも非常に高くなります。飼い主のライフプランを超えて生きる可能性があるため、「次の世代に託す覚悟」も考えなければなりません。

カメの寿命を延ばす飼育のコツ

カメを長生きさせるには、日々のちょっとした工夫が大切です。種類ごとに細かな違いはありますが、共通して大事なのは「食事・環境」の二つです。

ここでは、初心者でも実践しやすい長寿の秘訣をご紹介します。

食事と栄養バランスを整える

カメの健康を支える基本は食事です。ミズガメなら市販の配合飼料を主食に、小松菜などの青菜や魚を補助的に与えると栄養が偏りません。

リクガメは草食性が強いため、野菜や野草中心の食事が基本。タンポポやオオバコなど、自然に近い食材を与えると健康的に育ちます。果物は糖分が多いため「おやつ程度」が安心です。

とくに重要なのはカルシウムとビタミンD3で、これらが不足すると甲羅や骨が弱くなります。エサにサプリメントを振りかけたり、カルシウム豊富な食材を取り入れたりする工夫も効果的です。

温度と紫外線を意識した環境づくり

カメは変温動物のため、飼育環境の温度と光が寿命に直結します。ミズガメは25〜28℃ほどの水温と、日光浴できる場所(バスキングエリア)が必要。

リクガメは30〜35℃のホットスポットと25℃前後のクールスポットを作り、自由に体温調整できるようにしましょう。また、紫外線(UVB)ライトは必須で、カルシウム吸収を助け、代謝性骨疾患を予防します。

自然光を浴びられる環境なら理想的ですが、室内飼育では必ず人工ライトを取り入れましょう。

紫外線ライトは時間の経過で効果が弱くなります。光っているように見えても半年〜1年ごとに交換しましょう。

最後まで飼えるか考えて!カメを飼うときの注意点

カメはペットの中でも特に長生きする動物です。小さな子どもの頃に迎えたカメが、大人になってもずっと一緒に暮らしているケースは珍しくありません。

だからこそ「最後までお世話できるか」を真剣に考えることが大切です。

子どもと一緒に飼うときの注意点

お子さんの「カメを飼いたい!」という一言がきっかけで迎えるご家庭も多いでしょう。

最初は夢中で世話をしていても、成長するにつれて部活や勉強で忙しくなり、カメの面倒を見る時間が減ってしまうこともあります。そんなときに大切なのは、親が引き継いで世話をする覚悟を持つこと。

カメは子どもが成人した後も生き続ける可能性が高い動物です。情操教育や命の尊さを学ぶきっかけになる一方で、親世代が長期的に世話を担うケースがほとんどだということを理解しておく必要があります。

一人暮らしで飼うときのライフプラン

一人暮らしでカメを飼う場合、ライフスタイルの変化が大きな影響を与えます。引っ越し先が「ペット可」物件でなければ飼えませんし、大型に育つ種類ならスペースや設備の確保も課題になります。

結婚や同棲ではパートナーの理解も必要ですし、長期出張や旅行の際は世話を任せられる人を事前に探しておくことが欠かせません。最近は、自動給餌器や温度管理できる便利な機器もありますが、完全に無人で世話を任せるのは危険です。

カメは数十年単位で生きるため、「今だけでなく将来も飼い続けられるか」を常に意識することが大切です。

自分の年齢や将来も考えて

カメは種類によっては50年以上生きることもあります。もし30歳で寿命50年のカメを飼い始めたら、自分が80歳になる頃にようやくカメが寿命を迎える計算です。

将来自分が高齢になったとき、重い水槽を掃除できるのか、冬場の加温費用を払い続けられるのかを考えておく必要があります。さらに、自分が飼い切れなくなった場合に備えて「誰が引き継ぐのか」をあらかじめ家族や友人と相談しておくと安心ですよ。

カメを迎えるということは、人生の大部分を共に過ごすパートナーを得ること。ライフプランと照らし合わせ、最後まで責任を持てるかどうかをよく考えることが、カメと幸せに暮らすための第一歩です。

カメの寿命を見据えて、家族に迎える準備をしよう

カメと暮らすことは、人生を共に歩む大きな決断です。種類によっては数十年、なかには100年近く生きることも。適切な食事と環境づくりをすれば、驚くほど長く家族の一員として暮らせます。

その一方で、寿命の長さは「最後まで責任を持てるか」という大きな課題を伴います。子どもが大きくなっても続く世話、一人暮らしや引っ越しなどの生活変化、そして自分自身の年齢や体力も見据えなければなりません。

カメを迎える前に、家族やライフプランとしっかり照らし合わせておくことで、飼い主とカメの双方にとって幸せな未来につながりますよ。

ゆかりーぬ

動物系ライター ゆかりーぬ レオパとニシアフの飼育を通じて、爬虫類の奥深さにどっぷりハマっています。初心者さんの「これって大丈夫?」に寄り添えるよう、リアルな飼育の工夫や気づきをシェアします。爬虫類との暮らしが、もっと身近で楽しくなるお手伝いができたら嬉しいです。

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