ヘルマンリクガメは、穏やかな性格と丈夫さが魅力のリクガメ。初めて爬虫類を飼う人にも人気があります。小柄で扱いやすい種類ですが、健康に長く暮らしてもらうためには、意外と細やかな環境づくりが必要です。
適切な温度・湿度、紫外線の確保、のびのび歩けるスペース、そしてバランスのよい食事など、自然に近い生活を整えることがヘルマンリクガメの長寿の秘訣。
「どんなケージがいい?」「温度管理は難しい?」といった初心者が抱えやすい疑問に答えながら、飼育環境づくりのポイントをやさしく解説していきます。
ヘルマンリクガメの基本情報
ヘルマンリクガメは、南ヨーロッパ(イタリア・ギリシャ・スペインなど)原産の小型リクガメです。体長は個体差もありますが、成体でも約20cmと扱いやすい大きさ。性格は穏やかなことから、初心者や子どもがいる家庭でも人気があります。
また、寿命は30年以上と長く、しっかり環境を整えれば長く付き合えるパートナーになります。小柄ながら運動量が多く、広いスペースを好む点が特徴です。
飼育スペースはどれぐらい必要?

ヘルマンリクガメは活動的な種類のため、広いスペースが必要です。屋内飼育と屋外飼育のそれぞれのポイントを押さえておきましょう。
屋内飼育に必要なスペース
ヘルマンリクガメは活動量が多く、のびのび歩けるスペースが必要です。屋内飼育では、可能な限り広いケージを用意することが理想で、木製やガラス製のケースが扱いやすく保温性も確保できます。
床材には砂や腐葉土など自然に近い素材を使用すると、掘る・歩くといった本来の行動を取りやすくなります。狭いケージはストレスの原因になり、食欲不振や活動量の低下につながることも。
とくに幼体のうちは動き回ることが健康維持に役立つため、成長を見越し、広めのスペースを早めに確保しておくと安心です。ケージ内にはシェルターや水皿を置きつつ、リクガメが自由に歩けるルートを確保しましょう。
屋外飼育の注意点と工夫
気候が合えば、屋外飼育は日光浴がしやすく、より自然に近い飼育ができます。ただし、逃げ出し防止の対策は必須で、囲いの高さは十分に確保し、地面を掘る習性に備えて柵の一部を地中に埋めるなどの工夫が必要です。
また、屋外では直射日光と日陰の両方を作ることが重要です。植木鉢や流木を使ってシェルターを設置すると、カメが自分で日差しと影の間を移動し、体温調節しやすい環境を整えられます。
植木鉢や流木を利用して、自然なシェルターを作るのもおすすめです。
温度と湿度の管理
ヘルマンリクガメを健康に育てるには、温度と湿度の管理が欠かせません。変温動物であるため、環境の温度に体調が大きく左右されます。バスキングスポットや湿度コントロールなど、快適に過ごせる環境づくりの基本を押さえましょう。
適切な温度勾配をつくる
ヘルマンリクガメは変温動物のため、体温を自分で調整することができません。そのため、飼育ケージ内に「暖かい場所(バスキングスポット)」と「涼しい場所(クールスポット)」を作ることが大切。
バスキングライトをケージの片側に設置し、35〜40℃ほどの高温域を確保しましょう。反対側は24〜29℃を目安にし、リクガメが自由に移動して体温を調整できるようにします。
夜間の温度は18℃以上を維持しましょう。急激な温度低下は体調不良につながるため、寒い季節や温度差が激しい地域ではパネルヒーターを併用すると安心です。
湿度管理のコツ
湿度が低すぎると脱皮不全や甲羅の乾燥につながるため、適度な湿度維持が欠かせません。日常的に霧吹きをすることで床材の乾燥を防ぎ、とくに幼体期は乾燥のしすぎに注意します。
過度な湿度はカビや雑菌の繁殖を招くため、通気性の良いケージを使いながら、湿度計を使って環境を確認しましょう。季節によって室内環境が変わりやすいため、湿度が下がる冬場やエアコン使用時にはこまめなチェックが大切。
床材の種類によって保湿力も変わるため、砂と腐葉土を混ぜた自然系の床材を使うと適度な湿度を保ちやすくなります。
照明と紫外線の重要性

ヘルマンリクガメの健康維持には、適切な照明と紫外線が必要です。日光浴をすることでビタミンD3を生成し、カルシウムの吸収を助けます。
紫外線(UVB)ライトの役割
ヘルマンリクガメの健康維持には、紫外線(UVB)の照射が欠かせません。UVBを浴びることで体内でビタミンD₃が生成され、カルシウムの吸収を助け、丈夫な甲羅や骨の成長を支えます。
屋内飼育の場合はUVBライトを必ず設置し、1日12〜14時間ほど照射して自然光に近い環境を再現します。光量が弱いと栄養がうまく吸収できず、甲羅が変形の原因となる「くる病」のリスクが高くなるため、明るさと設置距離を定期的に確認しましょう。
紫外線不足で起きるトラブルと対策
紫外線不足は、ヘルマンリクガメにとって深刻な健康トラブルを招くことにつながります。とくに幼体ではくる病のリスクが高まるため、UVBライトの使用は必須。ライトは見た目の明るさに関係なく紫外線量が徐々に低下するため、半年に1回を目安に交換しましょう。
また、天気の良い日は短時間の屋外日光浴もおすすめです。自然光には人工ライトでは補いきれないメリットがあり、より健康的な骨の成長をサポートします。ただし、長時間の直射日光は熱中症につながるため、日陰を作りながら安全に行うことが大切です。
エサと水分補給

ヘルマンリクガメを健康に育てるためには、毎日の食事と水分補給の管理が重要です。草食性リクガメの食事内容や避けるべき食材、安全な水皿の選び方など、初心者でも実践しやすいポイントを押さえておきましょう。
草食性リクガメの基本メニュー
ヘルマンリクガメは完全草食性で、葉物野菜や野草を中心にバランスよく与えることが大切です。タンポポ、チコリ、クレソンなどは栄養価が高く、日常の食事に適しています。
一種類に偏らず、複数の野菜を組み合わせることで、栄養バランスを自然に整えられます。与える際は新鮮なものを適量用意し、食べ残しは早めに取り除いて清潔な状態を保ちましょう。
避けるべき食材と注意点
一見食べられそうに見える食材でも、ヘルマンリクガメに適さないものがあります。例えば、ほうれん草はシュウ酸がカルシウム吸収を妨げるため不向きです。また、キャベツは甲状腺に影響を与える可能性があるため避けましょう。
果物は糖分が高く肥満につながりやすいため、ごく少量の“おやつ”程度に留めるのが安全です。人工飼料は栄養補助として便利ですが、過剰に与えると偏食や栄養バランスの乱れを招くため注意しましょう。
水分補給とぬるま湯浴び
リクガメは乾燥気味の環境を好みますが、水分補給は常に重要です。浅めで安定感のある水皿を使い、リクガメが転倒しても事故にならないよう配慮しましょう。水は汚れやすいため、毎日交換して清潔に保つことが基本です。
さらに、週1〜2回の「ぬるま湯浴び」(約30〜35℃)は、便秘予防や皮ふの保湿に役立ちます。体が温まることで腸の動きが活発になり、排便が促されるため、とくに便秘気味の個体には効果的です。
5〜10分を目安に行い、終了後は体をしっかり拭いて冷えを防ぎましょう。
飼育環境のメンテナンス

ヘルマンリクガメを健康に育てるためには、清潔で快適な環境を維持することが欠かせません。ケージ内の汚れを放置すると、細菌が繁殖し、病気のリスクが高まるため、こまめなメンテナンスが必要です。
毎日・週・月のルーティン
ヘルマンリクガメを健康に育てるには、飼育環境を清潔に保つことが欠かせません。毎日のルーティンとしては、フンや食べ残しを取り除き、水皿の水を新しく交換しましょう。特に夏場は水が汚れやすいため、こまめなチェックが必要です。
週に1回は床材の部分的な交換を行い、湿度やにおいをリセットします。また、照明器具やバスキングライトの状態を確認し、光量が落ちていないかチェックしましょう。月に1度はケージ全体を洗浄し、カビや雑菌が発生していないかを丁寧に確認します。
快適に暮らせる環境づくり
リクガメが安心して過ごせる環境をつくるためには、床材選びやレイアウトの工夫も重要。砂や腐葉土を混ぜた床材は適度な湿度を保ちやすく、自然に近い感触を再現できます。シェルターや流木を配置して隠れ家を作ることで、ストレス軽減にもつながります。
また、ケージ内の動線を確保し、リクガメが自由に歩き回れるスペースを整えることも大切です。定期的な掃除と環境の見直しを続けることで、健康的で安心できる生活環境を維持しましょう。
ヘルマンリクガメと長く快適に暮らすために
ヘルマンリクガメは丈夫で飼いやすい種類ですが、健康に長く暮らしてもらうためには、毎日の環境づくりが大切。
広めのスペースでのびのび歩ける環境を整え、気温と湿度の管理、紫外線の確保は欠かせないポイントです。草食性リクガメに合った野菜中心の食事と、こまめな水分補給も健康維持に大きく関わります。
毎日・週・月ごとのお世話を無理なく続けることで、ヘルマンリクガメは安心して暮らせるようになります。自然に近い環境をイメージしながら、快適で安全な住まいをつくってあげましょう。

