ギリシャリクガメってどんなカメ?初心者のために飼い方・寿命を紹介

「リクガメを飼ってみたいけれど、どの種類が飼いやすいの?」そんな方におすすめなのが、ギリシャリクガメです。おだやかな性格と丈夫な体質で、初めての爬虫類ペットとしても人気のあるリクガメ。

見た目もかわいらしく、のんびりとした動きに癒やされます。この記事では、ギリシャリクガメの特徴や性格、成長サイズ、飼育に必要な環境やエサの選び方までを、初心者の方にもわかりやすく解説します。

家族で迎えたい方も、一人暮らしの癒しを求めている方も、この記事を読めばギリシャリクガメとの暮らしをしっかりイメージできるはずです。

ギリシャリクガメってどんなカメ?

ギリシャリクガメは、ヨーロッパ南部から中東、北アフリカにかけて生息するリクガメです。名前に「ギリシャ」とついていますが、実際にはイタリアやフランス、バルカン半島など広い範囲に分布しています。

乾燥した草原や低木の生い茂る土地を好み、日中に活動する昼行性のカメです。食性は草食性で、野生では草や花、葉っぱなどを主に食べて暮らしています。

亜種によって甲羅の色柄・形状・大きさ に違いがあり、見た目のバリエーションが楽しめるのもギリシャリクガメの魅力です。

おだやかで人懐っこい性格

ギリシャリクガメは、比較的おだやかな性格をしており、初めて爬虫類を飼う方にも扱いやすい種類です。

最初は警戒心が強くても、飼育環境に慣れてくると、飼い主の気配を感じて近寄ってきたり、手からエサを食べたりすることもあります。ただし、すべての個体が同じ性格というわけではなく、活発で動き回るタイプの子もいれば、おっとりとした子もいます。

また、縄張り意識があるため、特にオス同士は争うことも。ケンカによる怪我を防ぐためにも、基本的には1匹ずつの単独飼育が安心でしょう。

ギリシャリクガメの飼育前に知っておきたいこと

ギリシャリクガメはとても長生き。ペットというより「家族」として迎える心構えが大切です。飼育を始める前に「最後まで責任を持ってお世話できるかどうか」を考えてみましょう。

寿命が長く、30年以上生きることも

ギリシャリクガメは、正しく飼育すれば30年以上生きることもある、非常に長寿なペットです。中には40〜50年生きる個体も確認されており「一度飼ったら一生の付き合いになる」といっても過言ではありません。

そのため「子どもが飼いたいと言い出したから」「見た目がかわいいから」といった理由で衝動的に飼い始めると、後々お世話が負担になるケースもあります。

特に、飼い主が高齢の場合や、ライフステージに変化がある家庭(引っ越し、就職、進学など)では、長期的にお世話を続けられるかどうかをしっかり考えましょう。

また、犬や猫と違って人にかまってほしいという欲求がないため、放置しても鳴いたり吠えたりしないぶん「手がかからなそう」と思われがちなギリシャリクガメ。

しかし、飼い主が気づかないうちに体調を崩してしまうことも。毎日の温度管理・エサやり・観察・掃除など、地道なお世話が必要です。

飼育を始める前に、自分や家族の生活スタイルに無理がないか、長く付き合っていけるかをしっかり検討しましょう。

ギリシャリクガメの大きさと成長

ギリシャリクガメは、成長とともに少しずつ体が大きくなります。飼い始めるときは小さなベビーでも、数年かけて立派な成体に育っていきます。

おおまかなサイズ(甲羅の長さ)の目安は以下のとおりです。

  • ベビー(孵化直後):3〜4cm
  • 1年後:5〜7cm
  • 3年後:10〜13cm
  • 成体(5〜10年かけて):15〜25cm

メスの方がオスより大きくなる傾向があり、個体によっては最大で30cm近くまで育つこともあります。

ギリシャリクガメの成長はゆっくりですが、そのぶん一緒に過ごす時間がたっぷりあります。ベビー期から育てると、毎年少しずつ大きくなる様子をじっくり観察できます。

カメのサイズに合わせてケージを広くしていくことも忘れずに。成長に応じて、ストレスなく快適に過ごせるように住まいを整えてあげましょう。

ギリシャリクガメの飼育に必要な環境づくり

ギリシャリクガメを健康に育てるためには、自然に近い環境を再現することが大切です。特に、ケージの広さ・温度・湿度・紫外線の管理は、どれも欠かせないポイントです。

ケージの広さはカメのサイズに合わせて

ギリシャリクガメは意外とよく動くカメで、狭い場所だとストレスを感じてしまいます。

以下を目安に、甲長(こうちょう=甲羅の長さ)に応じて十分な広さを確保しましょう。

カメの甲長ケージの目安サイズ
~10cm60×45cm以上
10〜15cm90×45cm以上
15〜20cm120×60cm以上
20cm以上150×90cm以上 or 屋外飼育

可能であれば「広すぎるくらい」がベストです。複数飼育する場合は、それぞれが安心して過ごせるスペースを確保してください。

温度と湿度の管理

ギリシャリクガメは地中海のような、日差しがありながらも乾燥しすぎない環境を好みます。以下を目安に、温度と湿度を管理しましょう。

  • ホットスポット(暖かい場所):30〜35℃
  • クールスポット(涼しい場所):20〜25℃
  • ケージ全体の温度:25〜30℃
  • 湿度:40〜60%

ホットスポットとクールスポットを作ることで、カメが自分で快適な場所を選べるようになります。特に冬場は乾燥しやすいので、霧吹きや加湿器で湿度を調整するのがポイントです。

紫外線ライトは健康維持に必須

ギリシャリクガメの健康な成長には、紫外線が欠かせません。紫外線を浴びることで、体内でビタミンD3が生成され、カルシウムをしっかり吸収できるようになります。

カルシウムが不足すると、骨がもろくなったり、甲羅の変形といった「くる病」と呼ばれる症状が出ることも。そのため、ケージには必ず爬虫類専用のUVBライトを設置しましょう。

紫外線ライトにはいくつか種類がありますが、飼育環境やケージの広さに合ったものを選ぶことが大切です。光が弱すぎたり、照射距離が遠すぎたりすると、十分な効果が得られません。

照射時間の目安は1日8〜10時間ほど。ギリシャリクガメは昼行性のため、日中にライトをつけて、夜は消すというリズムが野生下の環境にも近く、健康に過ごせるでしょう。

手動での管理が大変な場合は、タイマーを使うと便利です。

ギリシャリクガメのごはんと水の与え方

ギリシャリクガメは完全な草食性のカメです。おいしそうに野菜をもぐもぐ食べる姿は、見ているだけでも癒やされます。栄養バランスに気をつけながら、健康的な食事を用意してあげましょう。

主食は野菜や野草

主に葉物野菜や野草を与えます。以下のようなものがおすすめです。

与えてよい食材の例

  • 野菜:小松菜、モロヘイヤ、チンゲン菜
  • 野草:タンポポ、オオバコ、クローバー(安全な場所で採取したもの)

カルシウムを多く含む野菜を中心に、複数の種類を組み合わせると理想的です。市販のリクガメ用フードを補助的に使うこともできます。

注意が必要な食材

  • レタス(栄養が少なく、水分が多すぎる)
  • ほうれん草(シュウ酸が多くカルシウム吸収を妨げる)

甲羅や骨の健康維持のために、週に数回はカルシウムパウダーをふりかけて与えましょう。紫外線ライトとセットで使うことで、より効率よく吸収されます。

毎日新鮮なものを与え、食べ残しはこまめに片付けて清潔を保ちましょう。

水はいつでも飲めるように

ギリシャリクガメが常に新鮮な水が飲めるように、ケージ内には安定感のある浅めの水入れを設置しましょう。容器が浅ければ、万が一カメが中に入っても溺れる心配が少なく、安全に使用できます。

水は毎日交換し、ぬめりや汚れが気になる場合はこまめに洗って清潔を保ちます。特に夏場や暖房を使う冬場は水が汚れやすくなったり蒸発しやすいため、こまめなチェックが重要です。

また、水を飲む以外にも、カメが自分から水に入って体を冷やしたり、排泄をしたりすることもあります。

乾燥しやすい時期には週に1〜2回ほどぬるま湯で「ソーキング(足湯)」を行うと、水分を補えるだけでなく、リラックス効果も期待できます。

ギリシャリクガメはどこで買える?会える?

ギリシャリクガメをお迎えする前に、健康な個体を見極めたり、実際の姿を観察したりすることはとても大切です。ここでは購入先や、事前に見学できるスポットをご紹介します。

購入は信頼できるお店やブリーダーから

ギリシャリクガメを迎える際は、爬虫類専門店や経験豊富なブリーダーからの購入がおすすめです。健康状態や個体の性格、飼育方法についても詳しくアドバイスしてもらえるため、初めて飼う方にとっても安心。

健康な個体を見極めるには、甲羅や目、口元が清潔で傷がないか、食欲があり元気に動いているか、飼育環境が清潔かどうかなどを確認しましょう。スタッフが知識豊富かどうかも、安心できるポイントです。

信頼できるブリーダーを探すには、爬虫類イベントや飼育者向けのオンラインコミュニティの活用もおすすめ。

実物を見たいなら動物園へ

ギリシャリクガメを飼ってみたいけれど、いきなりお迎えするのは不安……という方には、まずは動物園や展示施設で実物を観察してみるのがおすすめです。

実際に動いている姿や、どのくらいの大きさになるのかを目で見て確認することで、飼育するイメージがより具体的になります。また、展示されている環境や食事の様子を見ることで、飼育に必要な設備や日々のお世話のイメージもつかみやすくなります。

家族で訪れる場合は、子どもたちにとっても良い学びの機会になり、本当に最後まで責任を持ってお世話できるかを話し合うきっかけにもなるでしょう。

展示の有無や内容は施設によって異なるため、事前に公式サイトなどで確認してから訪れるのがおすすめです。

まとめ|ギリシャリクガメは一生のパートナー

ギリシャリクガメは、おだやかな性格と丈夫さからペットの飼育初心者にも人気のあるリクガメです。成長はゆっくりですが、最終的には30cmほどのサイズになり、30年以上生きる長寿の生き物でもあります。

飼育には、広めのケージ、温度や湿度の管理、紫外線ライト、バランスの取れた食事など、基本的な準備と日々のお世話が欠かせません。時間と手間はかかりますが、そのぶん「カメと暮らす喜び」も大きく、日々の癒しや観察の楽しさを与えてくれる存在になるはずです。

まずは動物園などで実物を観察したり、専門店で話を聞いたりして、自分や家族がしっかりお世話できそうか、じっくり考えるところからスタートしてみましょう。

ギリシャリクガメは、ゆっくりですが確実に飼い主との信頼関係を築いていく、まさに一生のパートナーといえます。飼育する場合は、ぜひ大切に迎えてあげてくださいね。